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2018年

12月

10日

【寄稿】第39回高校プロコン、埼玉県立越谷総合技術高校が初優勝

北海道旭川工業高校 情報技術科教諭
小檜山 淳(文・写真)

 

 今年で39回目を迎える伝統ある全国高校生プログラミングコンテスト(主催:全国情報技術教育研究会、高校プロコン)が、11月17日、埼玉県さいたま市の大宮ソニックシティで開催された。会場では、選手や指導教諭を含めて約100人の観衆が固唾を飲んで勝負の行方を見守った。

より高度なアルゴリズムが求められるかたちに進化

 高校プロコンは、自律型クライアントによる対戦型ゲーム「CHaser Online」を用いて勝敗を決定するコンテスト。得られるマップの情報を用いて自己判断して行動する自律プログラムを作成し、得点アイテムの獲得や「Put」コマンドによる他プレーヤーへの攻撃などによって得られる点数を競う。

 得点アイテムには、それぞれ獲得点数が異なる「化石」「三葉虫」「ターゲット」「アイテム」があり、アイテムの種類を判断してより効率よく得点する戦略が求められる。そして、得点アイテムの獲得以上に勝負のポイントになるのが、「Put」コマンドだ。「Put」は、隣接した他プレーヤーを攻撃することで、自分は残りターン数×10点の点数が得られる一方で、相手には同じ得点分の損失を与えるもの。最も得点の高い「化石」が150点であるのに対し、「Put」コマンドでは残りターン数によっては1000点を超える得点が移動し、勝敗の行方を大きく左右するので、どのチームも「Put」コマンドを戦略の要として実装している。

 また、マップ上には離れた地点へと移動できる「ワープ」が存在し、まだ得点アイテムが多数残っているエリアへ移動したり、他プレーヤーから距離を取ったりと、幅広い戦略に利用することができる。昨年の大会までのマップは点対称で組まれていたので、離れたエリアのマップをある程度は推測できたのだが、今年はマップの配置やプレーヤーの初期位置がランダムになったことで、すばやい状況把握と的確な状況判断が必要になり、より高度なアルゴリズムが求められるようになった。

オンライン予選上位が敗れる波乱、埼玉県勢は初の栄冠

 高校プロコンは、事前にオンラインで第1次予選、第2次予選が行われ、参加した全国55校から8校が本戦へ出場した。予選は8チームが一度に対戦するバトルロイヤル方式で行われ、2戦した結果の上位4チームが決勝トーナメントへと進出した。

 予選の2試合は、どちらもマップの至る所で激しい「Put」合戦となり、「Put」合戦を有利に運んだチーム、もしくはうまく「Put」合戦から逃れたチームが上位を占めた。この結果、1位から順に埼玉県立越谷総合技術高校、長崎県立長崎工業高校、山梨県立都留興譲館高校、北海道旭川工業高校の4校が決勝トーナメントへ進んだ。過去に数度優勝しているオンライン予選1位の宮城県工業高校や、昨年度の優勝校で予選2位の愛媛県立松山工業高校といった強豪校が予選で敗退する波乱の結果となった。

 上位4チームによる決勝トーナメントは、1対1で2試合対戦し、勝利数の多いほうが勝つルール。1勝1敗の場合は、合計得点の多いほうが勝利する。準決勝第1試合の越谷総合技術高校と旭川工業高校の対戦は両チームとも1勝ずつで、「Put」攻撃を重ねて大きな得点を得た越谷総合技術高校が旭川工業高校を下して決勝に進出した。準決勝第2試合の長崎工業高校と都留興譲館高校の対戦は、双方が「Put」攻撃を行う一進一退の攻防となったが、長崎工業高校が2連勝して決勝へと駒を進めた。

 決勝は準決勝よりもターン数が多くなり、決勝の1回目はマップ上の得点アイテムがほとんど回収されるレベルの高い戦いとなった。得点アイアムを回収する合間に「Put」合戦が繰り広げられる白熱した攻防となったが、まずは「Put」合戦で上回った越谷総合技術高校が1勝。2回目は、今大会最小サイズのマップで激しい「Put」合戦になると予想されたが、越谷総合技術高校がマップ隅で往復を繰り返すループのアクシデントに見舞われて「Put」合戦にならず、順調に得点アイテムを獲得した長崎工業高校が勝利した。長崎工業高校は1勝1敗に追いついたが、1回戦のリードを守りきった越谷総合技術高校が僅差で逃げ切り、埼玉県勢初の栄冠に輝いた。

2018年

11月

26日

ETロボコン2018、コニカミノルタチームがアドバンスト部門で総合優勝

 組込みシステム技術協会(JASA)は11月14日、「ETソフトウェアデザインロボットコンテスト(ETロボコン)2018チャンピオンシップ大会」をパシフィコ横浜で開催した。全国12ブロック・全318チームを勝ち抜いた40チームが出場。ロボット競技のデベロッパー部門・プライマリークラスでは東海地区代表の愛知工業大学「チーム八草」が優勝。デベロッパー部門・アドバンストクラスでは、同じく東海地区代表のコニカミノルタ「チームUltraPさま」が総合優勝を勝ち取った。また自由課題のガレッジニア部門では、北海道地区代表の稚内北星学園大学情報メディア学部「稚内北星学園大学INNN」の作品「アマコ・ジャトー(ママの石臼)」が最優秀賞に輝いた。

デベロッパー部門・プライマリークラスで優勝した東海地区代表の愛知工業大学「チーム八草」
デベロッパー部門・プライマリークラスで優勝した東海地区代表の愛知工業大学「チーム八草」
デベロッパー部門・アドバンストクラスで総合優勝した東海地区代表のコニカミノルタ「チームUltraPさま」
デベロッパー部門・アドバンストクラスで総合優勝した東海地区代表のコニカミノルタ 「チームUltraPさま」

 今回で17回目を数えるETロボコン。ETとは(Embedded Technology)の略で、組み込みシステム分野での技術教育や人材育成を目的とする。デベロッパー部門は、主催者が設定したコースで課題をクリアしながら走行体と呼ばれるロボットを走らせタイムと得点を競う。レゴの教育版マインドストームでつくられた同じ仕様の走行体を使用するため、挙動を制御するプログラミングの良し悪しが勝敗を分ける。さらにアドバンストクラスでは、本番の走行得点に加えプログラムの中身をドキュメントで表現する「モデル」の出来映えも評価に加わり総合優勝が決まる。ガレッジニア部門は、テクノロジーをベースに「新しい」「わくわくする」ものをつくるというテーマで競った。

デベロッパー部門・アドバンストクラスの競技風景
デベロッパー部門・アドバンストクラスの競技風景

 デベロッパー部門・プライマリークラスで優勝した「チーム八草」は、2位に大差をつけてのダントツの成績。大会のトップバッターで登場して課題を全てクリアし、高得点を叩き出してそのまま逃げ切った。デベロッパー部門・アドバンストクラスは、コースに書かれている数字を読み取ったりカメラで撮影したブロックの色を判断したりしてブロックを再配置する高度な処理を要求するコースが用意された。「チームUltraPさま」は、前半戦のブロック並べの失敗が響き、競技結果では2位に甘んじたものの、モデルの完成度が高く評価され、総合優勝を勝ち取った。ガレッジニア部門・最優秀賞の「稚内北星学園大学INNN」は、「石臼」を遠隔地から操作するという作品のユニークさが評価された。

ガレッジニア部門で最優秀賞を獲得した「稚内北星学園大学INNN」
ガレッジニア部門で最優秀賞を獲得した「稚内北星学園大学INNN」

 組込みシステム技術協会の参与でETロボコン2018本部実行委員会の星光行実行委員長は最後に「競技の成績が良いだけでは勝てないのがETロボコン。モデルが重要だ。どんなに早く走れてもモデルで手を抜いてはいけない。参加者の皆さんはぜひ、競技・モデルとも高い評価を勝ち取って完全優勝を狙ってほしい」と話し、競技会を締めくくった。(BCN・道越一郎)

モデルが重要と話すETロボコン2018本部実行委員会の星光行実行委員長
モデルが重要と話すETロボコン2018本部実行委員会の星光行実行委員長

2018年

11月

26日

高校生ものづくり全国大会、電子回路組立部門は長崎工業高校・岩永さん

 11月17・18日、東海地区で第18回高校生ものづくり全国大会(東海大会)が開催された。BCN ITジュニア賞の対象コンテストである電子回路組立部門は静岡県立科学技術高校を会場に行われ、長崎県立長崎工業高校の岩永怜也さんが優勝・厚生労働大臣賞に輝いた。

競技時間は2時間。戦いは付き添いの先生や生徒が背後から見守るなか静かに進む
競技時間は2時間。戦いは付き添いの先生や生徒が背後から見守るなか静かに進む

高校生の国内トップクラス、10人の代表選手による戦い

 高校生ものづくり全国大会(主催:公益社団法人全国工業高等学校長協会)は、工業高校で行っているものづくり教育の成果――技術・技能――を競うコンテストで、旋盤作業、自動車整備、電気工事、電子回路組立、化学分析、木材加工、測量の7部門がある。BCN ITジュニア賞の対象となる電子回路組立部門は、2時間の制限時間内にドットマトリクス表示器を制御する入力装置を製作し、15問の課題にある動作をするようプログラミングを行って、制御技術と組立技術、作業態度を競う組込み技術系のコンテスト。出場するのは、全国9ブロックの代表9人と開催地の校長会から推薦された1人、計10人の選手だ。

 競技開始の合図とともに、選手たちの手が動きはじめる。競技当日に配布される入力装置の回路図を見ながら、ハンダごてを手に組立作業、それが終わればプログラミングだ。2時間の競技時間は静かに、そして瞬く間に過ぎていく。終了後はすぐにその場でプレ審査が始まり、審査員が見守るなか、選手たちの手でスイッチを操作して、制御技術課題の動作を確認していく。プレ審査が終われば、審査員は入力装置の組立技術審査に移り、選手たちは付き添いの先生や生徒たちとパソコン・工具の撤収作業だ。

参加選手で記念撮影。賞状を手にする中央が優勝した長崎工業高校の岩永怜也さん、右が2位の岐阜工業高校・井ノ本翼さん、左が3位の浜松城北工業高校・曽根一輝さん
参加選手で記念撮影。賞状を手にする中央が優勝した長崎工業高校の岩永怜也さん、右が2位の岐阜工業高校・井ノ本翼さん、左が3位の浜松城北工業高校・曽根一輝さん

 2時間におよぶ審査の結果、優勝・厚生労働大臣賞に輝いたのは、九州ブロック代表の長崎県立長崎工業高校情報技術科3年生、岩永怜也さんだった。岩永さんは競技終了直後に手応えを口にしていたが、その通りの結果となった。2位には東海ブロック代表の岐阜県立岐阜工業高校電子科3年生、井ノ本翼さん、3位には開催地校長会推薦の静岡県立浜松城北工業高校電子科3年生、曽根一輝さんだった。ブロック別に全国から選ばれた優れた技能をもつ選手たちが、今日のためにトレーニングを積んできただけあって、レベルの高い僅差の戦いとなった。優勝した岩永怜也さんは、来年1月18日に開催されるBCN ITジュニア賞2019表彰式に受賞者として招かれる。

電子回路組立部門の会場は静岡県立科学技術高校
電子回路組立部門の会場は静岡県立科学技術高校


(文・写真:ITジュニア育成交流協会 市川正夫)

2018年

11月

21日

第8回U-16プロコン旭川/第5回北海道大会、優勝は初出場の中学2年生

 11月3日、北海道旭川市で第8回U-16プログラミングコンテスト旭川大会(U-16プロコン旭川)と、第5回U-16プログラミングコンテスト北海道大会が開催された。会場のイオンモール旭川駅前では、昨年の雪辱を期す再挑戦組からこの夏にプログラミング学習を始めたばかりの入門組まで、68人の子どもたちがこの日のために磨いてきたプログラミングの技を競った。

先輩たちによる指導が子どもたちの才能を開花させる

 2011年にここ旭川市で始まったU-16プロコンは、小・中学生と高校1年生を対象に、対戦型ゲームプラットフォーム「CHaser」を使用する競技部門と、ゲームやグラフィクスなど、自由に作成したデジタル作品を競う作品部門で構成する。「プログラミングを学んでいる高校の生徒や高等専門学校の学生が後輩たちを指導する」「『子どもたちの未来をつくる』という志をもつ大人たちが、ボランティアで運営を支える」「将来の地域をつくる人材を育て、地域を発展させる」という、すばらしい仕組みと理念をもっているプログラミングコンテストだ。

 U-16プロコン旭川は、今年も旭川工業高等専門学校最先端テクノロジー同好会と旭川工業高等学校情報処理部の有志たちが講師になって、7月末の事前講習会だけでなく、大会までの3カ月間、参加する中学校に通ってプログラミングを指導してきた。「今年は11回教えに行った」(旭川工業高校3年の鎌田聖士さん)という先輩たちによる綿密なフォローが、大会が中学校パソコン部の活動目標になる理由の一つであり、ここ数年、参加する中学校の数を増やしてきた原動力になっている。今年の旭川大会の参加者は、小学校5年生から高校1年生まで、59人。地区で大会参加に向けてプログラミング教室を実施してきた富良野市から9人が参加したほか、旭川市内では新たに神居東中学校、旭川商業高校からの参加があった。

 一方で、実行委員会で大会運営を支える大人たちの情熱も、年を追うごとに高まっている。「パソコンやプログラミングに興味をもつ子どもたちに活躍の場を提供し、ほめ称える」という開催目的が、ITを生業とする、あるいは趣味とする大人たちの琴線に触れないはずがない。道内外の開催地が増えたことで大会の存在を知る人が増え、協働や共感の環が広がりつつあることは、これからのU-16プロコンにとって大きな支えになる。もちろん、この大会に出場して高校・高専から社会に巣立っていった子どもたちも、準備段階から大会をサポートし、当日は参加者たちの相談役を務めるなど、大きな力になっている。

競技部門はゲーミングプラットフォーム「CHaser」で勝負。会場は拍手と歓声に包まれる
競技部門はゲーミングプラットフォーム「CHaser」で勝負。会場は拍手と歓声に包まれる

 午前中の旭川大会予選は、事前に公開されていたボットとの対戦で順位を決め、15位までが予選を通過する。午後の決勝は北海道大会と併催で、旭川大会の予選を通過した15人に、釧路大会、帯広大会、それに今年が第1回の札幌大会のそれぞれ3位まで、計9人が加わり、合計24人のトーナメント形式で行う。旭川の予選1・2位、釧路・帯広・札幌大会の1・2位はシード扱いでベスト16から登場。北海道大会チャンピオンはもちろんこのトーナメントの頂点に立った人だが、旭川大会は旭川勢のうちトーナメントで最も上位に勝ち残った人から順位を決めていく。旭川勢の活躍によっては、北海道大会と旭川大会の結果がまったく同じ、という可能性もあるわけだ。

競技部門は安定した力を発揮した福田華蓮さんに栄冠

 午前10時半に始まった予選では、これは毎年のことだが、ブロックにのめり込んで自滅してしまったり、途中で同じところを回り続けたりしてしまうプログラムがみられた。しかし、最も多くの参加者を送り込んだ旭川市立中央中学校の橋本崇教諭が、競技中に「予選通過ラインは90点くらいだと予想していたが、このままでは100点くらいになるかもしれない。レベルが高い」と舌を巻いたように、ほとんどのプログラムが最後まで動き回ってアイテムを集めていた。旭川予選1位通過は尾形優伍さん(中央中学校1年生)で、120点を獲得。予選通過ラインは99点だった。

中学校2年生の福田華蓮さんが初出場で栄冠を勝ち取った
中学校2年生の福田華蓮さんが初出場で栄冠を勝ち取った

 午後の旭川大会決勝トーナメント・北海道大会では、帯広大会と札幌大会の代表はそれぞれ最初の戦いで姿を消したが、釧路大会の3人はベスト8まで残る健闘をみせた。3位決定戦は中央中学校同士の対戦で、1年生の高橋昊瑶さんが3年生の澤田侑希さんを破り、3位に滑り込んだ。決勝は、旭川大会予選1位の尾形さんと予選6位の福田華蓮さん(神居東中学校2年生)の対戦。最後の試合で相手キャラクタの上にブロックを置く「プット勝ち」を収めた福田さんが2連勝して、見事第9代旭川チャンピオン、第5代北海道チャンピオンに輝いた。

 福田さんは予選の前に「『この大会に出場するから』といって、お父さんにパソコンを買ってもらった」というコメントが紹介され、会場を沸かせていた。午後の決勝・北海道大会では安定したバランスのよいプログラムで勝ち上がった。本人も「初めてでここまで来ることができて、正直言ってびっくりしている」。試合が終わると「ありがとうございました」と、礼儀正しく対戦相手におじぎする姿が印象的だった。

作品部門にエントリしたゲーム作品はすべて競技部門の参加者に開放。休み時間には子どもたちがゲームに興じていた
作品部門にエントリしたゲーム作品はすべて競技部門の参加者に開放。休み時間には子どもたちがゲームに興じていた

 作品部門は全員が競技部門にも重複出場した中央中学校の3年生で、それぞれゲーム作品を出品。優勝は北川優奈さん、2位が阿部颯太さん、3位が尾村奏磨さんだった。

この誇らしげな笑顔が子どもたちの成長の証だ
この誇らしげな笑顔が子どもたちの成長の証だ

 会場では、早々に敗退してしまった子どもたちが別室で初対面の相手との“他流試合”に臨むなど、この大会に向けて練り込んできた自分のプログラムの実力を試す姿が見られた。毎年、子どもにも大人にも大会を心待ちにする「U-16プロコンのファン」を増やしながら開催を重ねてきた旭川大会、釧路・帯広・札幌のチャンピオンたちが顔を揃える北海道大会は、いまや北海道でプログラミングを学ぶ子どもたちの、また中学校の理科系部活動の大きな目標になるまでに成長した。今後、全国でさらに多くの子どもたちがプログラミングの世界で自分たちの可能性を広げることができるように、開催地を増やし、参加者を増やしながら前進していくだろう。NPO法人ITジュニア育成交流協会は、微力を尽くしてその活動を応援する。

(文・写真:ITジュニア育成交流協会 市川正夫)

2018年

11月

05日

U-16プロコンついに札幌でも、競技部門の初代勝者は藤田響さん

 札幌にもU-16プログラミングコンテストの環が広がった。U-16プログラミングコンテスト札幌大会実行委員会は10月28日、札幌市の札幌コンベンションセンターで「第1回 U-16プログラミングコンテスト 札幌大会」を開催。ギャラリーや選手、関係者含めておよそ70人が参加した。今年で2回目を迎えた「ジュニアプログラミングワールド2018 with TEPIA」との併催もあり、ふらっと会場をのぞきにやってくるギャラリーも多く見られた。コンテストは「競技部門」と「作品部門」の2部門で開催。あらかじめ作った自律プログラムで動くコマと相手のコマを戦わせる「競技部門」では、札幌市立東月寒中学校の藤田響さんが優勝。コンピュータープログラムなどの「作品部門」では、安平町立追分小学校の猪瀬豊さんが金賞を獲得した。

競技部門で優勝した札幌市立東月寒中学校の藤田響さん
競技部門で優勝した札幌市立東月寒中学校の藤田響さん

 参加対象は札幌市とその近隣地域在住の16歳以下。競技や作品作りを通じてプログラミングの楽しさを味わってもらい、将来の日本のものづくりを担うであろう、まだ小さな心に情熱の灯火をつけることを目的とする。競技部門は対戦ゲーム「CHaser」を使ったトーナメント戦。第1回開催の今回は17人が参加した。優勝した藤田さんに続き、準優勝は札幌龍谷学園高等学校の井上慎之介さん、3位は北海道教育大学付属札幌中学校の市毛大渡さんが獲得した。

競技部門で11月3日の全道大会に勝ち進んだ上位入賞者。左から市毛さん、藤田さん、井上さん
競技部門で11月3日の全道大会に勝ち進んだ上位入賞者。左から市毛さん、藤田さん、井上さん

 午前の予選では、運営側が用意したボットと選手のコマを対戦させ点数を競い、決勝のトーナメント表を決定。午後の決勝トーナメントで選手のプログラム同士を戦わせた。それぞれの競技で2回戦い、勝利数や獲得点数で勝ち負けを競うルール。予選では、1カ所にとどまって動かないコマや、場外に飛び出して自滅するコマなどが続出。先行きが心配されたが、決勝トーナメントでは、各選手が直前まで必死に行ったプログラム調整の甲斐あって、ハイレベルな戦いが繰り広げられた。決勝戦では藤田さんの2連勝で決着。最後は優勝を争った井上さんと健闘をたたえ合い、固い握手を交わして戦いを終えた。また、予選を1位で通過したものの、トーナメント1回戦で惜しくも敗退した札幌日本大学高等学校の猪俣晴生選手に対しては、プログラムの完成度を評価し審査員特別賞が授与された。

「作品部門」で金賞を獲得した安平町立追分小学校の猪瀬豊さん
「作品部門」で金賞を獲得した安平町立追分小学校の猪瀬豊さん

 競技部門で優勝した藤田さんは表彰式で「優勝は自分の力だけではなく、プログラミングクラブ・コーダー道場の人たちや親の助けを得たおかげ」と話した。また、作品部門で金賞に輝いた猪瀬さんは7歳。ゲームオーバーがなく、無限に点数が入るパソコンゲーム「マークキャッチ」が高く評価された。「DSやファミコンのゲームに飽きたので本作品を作った」といい、表彰式では「来年は競技部門に出場したいです」と力強くコメントした。

来年以降も継続して開催したいと話す八巻正行実行委員長
来年以降も継続して開催したいと話す八巻正行実行委員長

 八巻正行実行委員長は挨拶で「1回目ということで、参加選手を集めるのに苦労したが、競技部門と作品部門で計20人の参加があり、ほっとしている。今回は、事前講習会でファイル保存の方法を教えるところから始めるほど、ほとんどの参加者がプログラミングが初めてだった。しかし、決勝トーナメントでは、大人顔負けのロジックが組み込まれたものも多く見られ、将来が楽しみだ。来年以降もぜひ継続して開催したい。今年悔しい思いをされた方は来年リベンジしてほしいし、今年卒業される方は、来年は後輩に教える側に回ってほしい」と話した。

競技部門をきっかけとして、新たな挑戦をしてほしいと話す、下村審判長
競技部門をきっかけとして、新たな挑戦をしてほしいと話す、下村審判長

 また、競技部門で審判長を務めた北海道旭川工業高等学校情報技術科の下村幸広教諭は、大会を振り返って「U-16プログラミングコンテストは、旭川で8年前に始めた。当時は、そんなことができるわけがない、クレイジーと言われた。しかし今回、初開催の札幌大会を見て、選手のみなさんの力はすごいと改めて思った。競技部門はプログラミングの入り口。これをきっかけにさらに新たな挑戦をしてほしい」と話した。今回、競技部門で3位までに入賞した選手は、11月3日に旭川で開催される「U-16プログラミングコンテスト 全道大会」に出場できる。この全道大会で優勝した選手は、2019年1月18日に東京で開催する「BCN AWARD 2019 / BCN ITジュニア賞 2019」表彰式で授与されるBCN ITジュニア U16賞にノミネートされる。(BCN・道越一郎)

参加者、関係者全員で記念撮影
参加者、関係者全員で記念撮影

2018年

11月

05日

長野でITジュニアが熱戦、U-15プロコンを冬季五輪会場で開催

 第1回「U-15長野プログラミングコンテスト(U-15長野プロコン)」が、1998年の冬季五輪でスケート競技などの会場になった長野県長野市のビッグハットで開催された。長野市内の小・中学生20人が出場し、7月下旬の事前講習会から積み重ねてきたプログラミング学習の成果を披露。地域最大級の多業種総合展示会「産業フェアin信州 2018」のメイン会場で実施した決勝トーナメントには、展示会の出展社や来場者なども観戦に集まり、大盛況のコンテストになった。

第1回「U-15長野プログラミングコンテスト」が10月27日に開催された
第1回「U-15長野プログラミングコンテスト」が10月27日に開催された

 U-15長野プロコンは、ITジュニアの養成と地域のIT関連産業の底上げのために実施されるコンテスト。初開催となる今回は、碁盤目状のフィールド上で参加者が作成したプログラム同士を戦わせる対戦型ゲームプラットフォーム「CHaser」を使用し、競技部門として開催した。なお、今大会のモデルとなった「U16旭川プログラミングコンテスト」には、競技部門とデジタル作品を審査員が評価する作品部門がある。

あらかじめ組んできたプログラム同士で対戦する
あらかじめ組んできたプログラム同士で対戦する

 U-15長野プロコン大会長を務める長野商工会議所の北村正博会頭は、「IT化が進み、PCなしでは業務が進まない時代になってきた。一方、PCやスマートフォンは使えるが、使える背景は考えず、でき上がったものを活用している方が多い。そのような状況のなかで、ものを考え創意工夫する力を養っていかなければいけない。そこで、旭川の取り組みを参考に本大会を立ち上げた」と、開催する目的を説明した。

U-15長野プロコンの北村正博大会長
U-15長野プロコンの北村正博大会長

 U-15長野プロコン当日は、午前中に会場内の会議室で予選を実施。20人の参加者のうち、上位8人が決勝トーナメントに進んだ。大会競技審判員を長野市でSIを手掛けるシステックスのエンジニアである大森渉氏が、プロコンの司会実績のある五十嵐優太氏が大会DJを務めた。

大会DJを務める五十嵐優太氏
大会DJを務める五十嵐優太氏

 予選の開会式であいさつした、実行副委員長の青柳和男・長野市ICT産業協議会会長は、「多くのお問い合わせ、参加申し込みをいただいたが、応えきれなかった。今後の課題として、次回以降に生かしていく」と、来年以降の開催にも前向きな姿勢を示しつつ、「競技なので勝敗が付いてしまうが、おそらくわずかな工夫の差。勝敗以上に、この大会を楽しんでもらいたい」と語った。

青柳和男実行副委員長
青柳和男実行副委員長

 予選は、参加者のプログラムとボットの対戦。順調に動くプログラムがある一方で、動かなくなってしまったり、同じ動作を繰り返したりするプログラムがあったものの、参加者たちは自らのプログラムの反省点を冷静に分析して説明していた。五十嵐氏は、「事前講習会を経て、参加するだけでもすごいこと。さらに、自らで改善点を見つけられるのは素晴らしいこと」と、語っていた。

予選の参加者
予選の参加者

 大型ステージで開催された決勝トーナメントは、参加者の保護者や大会関係者のほか、産業フェアの出展社や来場者の注目を集めた。参加者の熱意や五十嵐氏の軽妙で分かりやすい司会が追い風になり、常に100人以上、ピーク時に150人以上が観戦していた。

大盛況のU-15長野プロコン
大盛況のU-15長野プロコン
選手たちは自分たちの組み上げたプログラムの戦いをじっと見つめていた
選手たちは自分たちの組み上げたプログラムの戦いをじっと見つめていた

 決勝戦に進んだのは、長野日本大学小学校6年生の北村健友選手と、篠ノ井西中学校2年生の平野真央選手。両者一歩も譲らない接戦に観衆が沸き上がるなか、僅差で優勝したのは、平野選手だった。平野選手は、「あと少しの差だったのでヒヤヒヤした。まだ実感がわかない」とコメント。北村選手は、「あとちょっとだった……」と悔しげに語った。

決勝前に北村健友選手(写真左)を五十嵐氏がインタビュー(写真右が優勝した平野真央選手)
決勝前に北村健友選手(写真左)を五十嵐氏がインタビュー(写真右が優勝した平野真央選手)
北村大会長から表彰状を手渡される平野選手
北村大会長から表彰状を手渡される平野選手

 閉会式に登壇した、U-15長野プロコンの監事を務める近藤守・長野市教育委員会教育長は、「これからの子どもたちは、日本語、外国語のほかにプログラミング言語も学ばなければならない。今日参加した選手たちは、それを先取りしている。彼・彼女らが、プログラミングなどを通じ自分を表現していけるようになれば、ますますお互いの理解が進み、人間のコミュニケーションが円滑になっていくはず」と期待する。最後に、関係者や参加者、参加者を支えた保護者への感謝を述べ、締めくくった。

U-15長野プロコンの監事を務める近藤守教育長
U-15長野プロコンの監事を務める近藤守教育長

 7月に開かれた事前講習会には、90件ほどの問い合わせがあったが、先着順で33人が参加した。参加費は無料。PCは、U-15長野プロコンの理念に共感したマウスコンピューターが提供した。講師は、長野工業高等専門学校や長野工業高等学校の生徒が務めた。このように、先輩が後輩を教える仕組みは、旭川プロコンから取り入れた。今大会は、北海道旭川工業高等学校の協力も得ている。

NPO法人ITジュニア育成交流協会も今大会に協力している
NPO法人ITジュニア育成交流協会も今大会に協力している

 優勝した平野選手は、2019年1月18日の「BCN ITジュニアU-16賞 2019」にノミネートされる。

 

(文・写真:BCN 南雲 亮平)

2018年

11月

05日

460作品の登録で過去最高を更新、U-22プログラミング・コンテスト2018

 2020年から小学校教育で必修化になることもあり、プログラミングへの関心が急速に高まっている。10月21日に東京・港区のTEPIA先端技術館で、第39回「U-22プログラミング・コンテスト2018」の最終審査会が開催。事前審査に応募した作品数が460作品(前年比27.9%増)、参加者総数が1581人(同33.7%増)と、昨年の344作品、1236人を大きく上回り、3年連続で過去最高を更新した。7月1日~9月5日に応募した作品は、10月上旬に実施した1次審査会を経て、最終的に16作品が最終審査会に進んだ。

スローガンは「世界は君の創造次第。」
スローガンは「世界は君の創造次第。」

 冒頭のあいさつで実行委員長を務めたコンピュータソフトウェア協会(CSAJ)の青野慶久副会長(サイボウズ社長)は「昨年も過去最高の応募数だったが、そこからさらに3割近く伸び、ビッグウェーブが起きている。本日の最終審査会に残った16作品を制作した方々は、1割を切る選ばれし人たち。ここにくることだけでも大変、素晴らしいこと」と、難関を突破して最終審査会まで進んだことを讃えた。

実行委員長を務めるCSAJの青野慶久副会長
実行委員長を務めるCSAJの青野慶久副会長

 U-22プログラミング・コンテストは、すぐれた人材の発掘・育成を目的に、22歳以下の若者を対象に開催するプログラミングのコンテスト。前身は1980年から経済産業省が主催の「全国高校生・専門学校生プログラミング・コンテスト」「U-20プログラミング・コンテスト」で、2014年に民間に移行し、運営事務局がCSAJに移った。対象年齢も、22歳以下に年齢が上がった。

 応募作品は、有用性や芸術性などビジネスの可能性が期待できるほど完成度の高い作品を評価する「プロダクト」、アルゴリズムや機能性など技術的に優れた作品を評価する「テクノロジー」、独創性や将来性など優れたアイデアを採用した作品を評価する「アイデア」と、3つのポイントから選定する。経済大臣賞として、「総合」を含めて合計4つの賞から構成される。

 作品ジャンルは問わないが、自ら作成したコンピュータプログラミング作品で、AIやIoT、セキュリティ、プログラミング言語、ユーティリティ、学習&教育、コミュニケーション、ゲームなど、実行可能であることが条件となる。プログラミング言語も問わない。

 また、今回は新しい取り組みとして、第3回「全国小中学校プログラミング大会(JJPC)」を同日に開催した。こちらは、小中学生を対象にして「発想力」「表現力」「施術力」を審査基準とし、PC・スマートフォン(スマホ)・タブレット端末で動作するプログラムやアプリ・ゲーム・ムービーなどのソフトウエア、ロボットや電子工作などのハードウエアであれば使用言語や作品形式を問わない。U-22プログラミング・コンテストと連携しており、ダブル応募も可能だ。

 さらに、作品発表者のプレゼンや授賞式の様子はニコニコ生放送でもライブ配信されて、視聴者らが決める独自の「Best Viewers賞」を設けるなど、コンテストを盛り上げた。

 さて、U-22プログラミング・コンテストの最終審査を経て発表された経済産業大臣賞の受賞者と受賞作品を簡単に紹介しよう。

 「総合」で受賞したのは、早稲田実業学校初等部の菅野晄さんによる「写刺繍~Sha-Shi-Shu~」で、小学6年生の受賞だ。スマホで撮影した写真から刺繍の図案を簡単に作成できるアプリを開発した。刺繍で一番難しいとされる図案は、これまでサンプル集などから選ぶしかできなかった。だが、写刺繍を使うと自分の好きなものが図案にできるので、オリジナルのデザインの刺繍が楽しめる。数多い糸の種類や色なども、K平均法アルゴリズムによって一番近い色を決めてくれる。

「写刺繍~Sha-Shi-Shu~」で「総合」を受賞した菅野晄さん
「写刺繍~Sha-Shi-Shu~」で「総合」を受賞した菅野晄さん

 「プロダクト」で受賞したのは、東京工業大学4年の美座天佑さんのブラウザで動くハイクオリティアクションゲーム「サイハテドロップ」。グラフィック、フォント、サウンド、プログラムをすべて自分だけでつくった。敵を倒して得たコインで武器を購入しながら攻略していくドット絵ゲームで、描画エンジンはPIXI.jsを使っているが、設計部分はゲームエンジンを使わずにJavaScriptのみで作成した。重くならず、スピーディーで爽快感のある攻撃演出が高く評価された。

「サイハテドロップ」で「プロダクト」を受賞した美座天佑さん
「サイハテドロップ」で「プロダクト」を受賞した美座天佑さん

 「テクノロジー」で受賞したのは、日本工学院八王子専門学校4年の藤巻光平さんによる3DCGレンダリングのソフトウエアをゼロからすべて作成した「Lightn Renderer Engine」。従来のソフトウエアにとらわれない、新しい表現や最新のリアルタイムレンダリング表現を採り入れている。従来のCPUとGPUを使った処理を、GPUだけの超並列計算処理を活用しながら、今日のIT分野でVRやMR、スマホなど幅広い分野で使われているリアルタイムレンダリングで、さらに高度な表現方法を完成させた。

「Lightn Renderer Engine」で「テクノロジー」を受賞した藤巻光平さん
「Lightn Renderer Engine」で「テクノロジー」を受賞した藤巻光平さん

 「アイデア」で受賞したのは、京都市立岩倉南小学校の宮城采生さんの「オシマル」。こちらは小学5年生の受賞だ。宮城さんは、親から注意されないと12時間ぐらい平気でゲームをしてしまうほどのゲーム好き。大小の動物キャラクターが押し相撲をしながら敵の陣地に入ったら勝ちとなるゲーム「オシマル」を自らつくった。C#歴は1年というが、ゲームアイデアやキャラクターの絵、音楽をすべてオリジナルでつくった。

「オシマル」で「アイデア」を受賞した宮城采生さん
「オシマル」で「アイデア」を受賞した宮城采生さん

 なお、経済産業大臣賞を受賞した4人は、2019年1月18日に表彰式を開催する「BCN ITジュニア賞2019」にノミネートされる。

 

(文・写真:BCN 細田 立圭志)

2018年

10月

23日

第2回U-16プロコン三重大会、作品部門で開催、小学校6年生が優勝

 10月21日、第2回U-16プログラミングコンテスト(U-16プロコン)三重大会が三重県鳥羽市の国立鳥羽商船高等専門学校(鳥羽商船高専)で開催された。マイコンやウェブページ、スマートフォン向けプログラムなど、小・中学生が自由につくったデジタル作品を評価する作品部門の大会である。

事前講習会の後、2カ月にわたって学習をフォロー

 昨年の第1回U-16プロコン三重大会は台風の影響で当初の開催日が延期になり、日程調整に苦労したが、今年は晴天の下、鳥羽商船高専の文化祭「海学祭」のなかで、作品展示を兼ねての大会となった。

大会に参加した小・中学生の子どもたちと審査委員
大会に参加した小・中学生の子どもたちと審査委員
地元を中心に多くの人が来校。校舎内の展示や出店などを楽しんだ
地元を中心に多くの人が来校。校舎内の展示や出店などを楽しんだ

 大会に向けて、8月には鳥羽商船高専と鈴鹿工業高専の2カ所でプログラミングの事前講習会を開催。学生がチューターになって、小・中学生にプログラミングを教えた。事前講習会から大会までの2カ月は、鳥羽商船高専の江崎修央教授とその研究室に所属する学生たちが、プログラム開発に関する小・中学生の質問や相談に応じた。そして大会当日は18組21名の作品がエントリー。午前中は一般来場者向けに作品を展示し、午後からは審査を行った。

マルチメディア教室に作品が勢ぞろい。一般来場者も会場に足を運んだ
マルチメディア教室に作品が勢ぞろい。一般来場者も会場に足を運んだ
大会運営に携わった江崎教授(右上)、鈴鹿高専の浦尾准教授(左上2番目)、事前講習会の講師を務めた岡村康子さん(左上3番目)と鳥羽商船高専の学生たち
大会運営に携わった江崎教授(右上)、鈴鹿高専の浦尾准教授(左上2番目)、事前講習会の講師を務めた岡村康子さん(左上3番目)と鳥羽商船高専の学生たち

最優秀賞は小学校6年生の田中魁さんが獲得

 審査の前に行われた開会式の冒頭、鳥羽商船高専の林祐司校長が「コンテストに応募すること自体が大事なことだ。プログラミングとデータベースが中心の世界で、皆さんはその一方をものにしようとしている。これからも勉強していってほしい」と、子どもたちにエールを送った。
 そして始まった審査は、アイデア、技術力、発表力の三つのポイントで評価し、総合得点の高い作品が最優秀賞となる仕組みだ。大会の協賛企業から選ばれた審査委員が18組のブースを回り、子どもたちから作品紹介を聞いて、工夫した点、苦労した点など質問しながら審査を行った。

審査委員の質問に一生懸命に答える子どもたち
審査委員の質問に一生懸命に答える子どもたち

 マルチメディア教室に展示された作品たちは、ふだんの生活で困ったことを解決したり身近な作業を便利にしたりするものや、ハンダ付けですごろくやUFOキャッチャーなどの機器を制御するプログラムなどのほか、子どもならではのさまざまなアイデア溢れるものばかり。そのなかで、敵の攻撃をかわしながらコインを集めて制限時間内に宝箱を盗むゲーム「イケイケ!カイトウ!」をつくった鈴鹿市立稲生小学校6年生の田中魁さんが最優秀賞に輝いた。

文化祭の屋外メインステージで表彰式を実施。多くの人が拍手を送った
文化祭の屋外メインステージで表彰式を実施。多くの人が拍手を送った

 田中さんは、来年1月18日に開催されるBCN AWARD 2019/BCN ITジュニア賞2019表彰式に招待され、BCN ITジュニア U-16賞を授与される予定だ。

(文・写真:ITジュニア育成交流協会 江守譲)

2018年

10月

23日

U-16プロコン釧路大会は村上渚さんが優勝、和やかな雰囲気が強さの秘密

 秋晴れの10月14日、北海道釧路市で第6回U-16プログラミングコンテスト(U-16プロコン)釧路大会が開催され、子どもたちが事前講習会で培ったプログラミングの技を競った。

入賞者と参加者・実行委員会の面々。賞状を手にするのは、左から3位の高本凛さん、1位村上渚さん代理の寺地海渡さん、3位の村田貴弘さん
            入賞者と参加者・実行委員会の面々。賞状を手にするのは、                 左から3位の高本凛さん、1位村上渚さん代理の寺地海渡さん、3位の村田貴弘さん

 オランダ船籍の大型クルーズ客船「アムステルダム」が接岸する釧路港耐震岸壁。ゆっくりと降り立ってくる船客を見下ろしながら、目の前の釧路市観光国際交流センターの視聴覚室では、U-16プロコン釧路大会の準備が進んでいた。6回目を迎えた今年の釧路大会は、7月7・8日の説明会&体験会を皮切りに、8月11・12日、8月18・19日、そして大会2週間前の9月30日に事前講習会を開催。ホームページをリニューアルし、市内の中学生全員分のチラシを用意するなど、充実した体制で臨んだ。

 釧路大会の最大の特徴は、アットホームな雰囲気にある。参加者の年齢に近い釧路高専の学生たちが実行委員会に加わって、主体的に“後輩”たちの指導あたっていて、大会に参加する釧路工業高等専門学校(釧路高専)の1年生たちはもとより、事前講習会などを通じて中学生とも顔が見える関係になっている。大会運営を支える大人たちも、OSC北海道やU-16プロコン旭川大会などで交流を重ねているメンバーで、気心が知れている。プログラムの進行中にサーバーなどのトラブルが起きても、専門家集団があわてずに次善の策を練る。対戦中のBGMや実況も回数を重ねて洗練され、集まった子どもたちと父兄を自然に興奮の輪に引き込んでいた。こうした和やかな雰囲気が子どもたちの次のステップへのモチベーションを生みだし、過去4回の北海道大会で2人の優勝者を出すという強さにつながっている。

ダブル実況とBGMが会場を盛り上げた
ダブル実況とBGMが会場を盛り上げた

 14日の大会は、事前講習会を受講した中学生から数名の辞退者が出て、最終的に参加したのは9人(1人はプログラムでの参加)だった。よく練り込んだプログラムが多く、対戦中は「さすが釧路」という声が上がっていたほど。釧路高専専攻科1年生の寺地海渡さんの解説は、的確に勝因・敗因を浮かび上がらせ、今後のプログラムのブラッシュアップにつながるアドバイスになっていた。2ブロックで総当たり(先攻・後攻交代の2回戦制)の対戦を行い、見事優勝を射止めたのは、プログラム参加の釧路高専1年生、村上渚さん。準優勝は釧路市立北中学校3年生の高本凛さん、3位には北海道教育大学附属釧路中学校1年生の村田貴弘さんが入った。3人は、11月3日、U-16プロコン旭川大会と同時に行われる北海道大会に出場する。終了後の電話インタビューで、優勝した村上さんは「北海道大会までにさらにブラッシュアップしたプログラムを書く」と、11月3日への決意を語っていた。

会場の釧路市観光国際交流センター
会場の釧路市観光国際交流センター

(文・写真 ITジュニア育成交流協会 市川正夫)

2018年

10月

10日

山梨では12月に本大会、U-16プロコン事前講習会を甲府で開催

 9月29日、山梨県甲府市の甲府工業高校で、第1回U-16山梨プログラミングコンテスト(U-16プロコン山梨大会)競技部門の事前講習会が開催された。当日は台風24号の接近で激しい雨が降る。

会場の山梨県立甲府工業高校
会場の山梨県立甲府工業高校

山梨県立都留興譲館高校の工学研究部が協力

 U-16プログラミングコンテスト(U-16プロコン)は、パソコンやプログラミングに興味をもつ子どもたちに活躍の場を提供するとともに、これまでプログラミングを学んだことのない子どもたちの将来の可能性を広げようとする学びの場として、2011年に北海道旭川市で始まった。小・中学生と高校1年生を対象に、対戦型ゲームプラットフォーム「CHaser」を使用する競技部門と、ゲームやグラフィクスなど、自由に作成したデジタル作品を競う作品部門で開催される。

 U-16プロコンは、「プログラミングを学んでいる高校の生徒や高等専門学校の学生が後輩たちを指導する」「『子どもたちの未来をつくる』という志をもつ大人たちが、ボランティアで運営を支える」「将来の地域をつくる人材を育て、地域を発展させる」という、すばらしい仕組みと理念をもっている。U-16プロコン山梨大会は、この理念と仕組みに共感したNPO法人山梨ICT&コンタクトセンターが中心になって実行委員会(金成葉子委員長)を結成。山梨県高等学校教育研究会工業部会の協力を得て、会場を甲府工業高校に、そして講師・チューターに3年前の全国高校生プログラミングコンテストを制するなど、IT系コンテストの強豪校である都留興譲館高校(旧谷村工業高校)工学研究部の先生・生徒を招き、12月8日の本大会開催を目指して取り組んでいる。

 当日のしの突く雨と、もともと夏休みに開催する予定だった講習会が9月にずれたことで、受講者は小学校5年生、中学校3年生、中学2年生の3人。それでも「pythonでアプリやゲームをつくっている」という子どもがいるなど、少数精鋭だ。残念ながらチューター役の都留興譲館高校工学研究部の生徒たちは学事日程で欠席。講師には工学研究部顧問の卯月英二教諭が立った。

会場は充実した設備を備えた第2コンピュータ室
会場は充実した設備を備えた第2コンピュータ室

 講習会は、受講者が少なかったことで、結果として講師の卯月教諭や甲府工業高校電子科の伊東雅人教諭が参加者の間を回り、一人ひとりの進捗を確認しながら前に進むという行き届いた指導で、内容の濃いものになった。最後に、相手のキャラクタの上にブロックを落として勝つ「プット勝ち」のプログラムを書いて、勝利の余韻を味わったところで講習は終了。この後、12月の大会まで、受講者はメールなどで都留興譲館高校工学研究部の生徒たちによる指導を受けることができる。

結果として、受講者一人ひとりにていねいな指導ができた。マウスを握るのが卯月英二教諭
結果として、受講者一人ひとりにていねいな指導ができた。マウスを握るのが卯月英二教諭

 U-16山梨プロコン実行委員会は、12月8日に向けて、事前講習会受講者のプログラミング学習をフォローするとともに、さらに大会参加者を募っていく。

(文・写真:ITジュニア育成交流協会 市川正夫)

2018年

9月

26日

自分が生んだAIに自分の仕事を奪われる……子どもと科学を考えるシンポジウム、池上彰氏も登場

 科学技術振興機構(JST)と日本科学オリンピック委員会は9月17日、東京都・文京区の東京大学 伊藤謝恩ホールで「『国際科学オリンピック日本開催』シンポジウム」を開いた。これから2023年までの間、世界の中高生が科学の力を競う国際科学オリンピックが日本で相次いで開かれる。こうした中、当日は科学オリンピックに興味を持つ子どもたちやその保護者を中心におよそ400名が集まった。シンポジウムでは、講演やパネルディスカッション、ワークショップ、サイエンスショーを通じて、科学する心の楽しさ、意義などを伝えた。

プログラミングで最も大事なのは、コーディング以前のアルゴリズム

 冒頭、9月8日に閉幕した第30回国際情報オリンピック日本大会で組織委員会委員長を務めた古川一夫氏が講演。日本代表選手が金メダル1個、銀メダル1個、銅メダル2個と全員メダルを獲得した結果を報告した。続いてPreferred Networks 執行役員の秋葉拓哉氏が登壇。「情報オリンピックに出場して」と題して講演した。06年にメキシコ・メリダで開催された第18回国際情報オリンピックに日本代表として出場した経験をもとに子どもたちに語りかけた。

 プログラミングの世界大会に10回以上出場した経験をもつ秋葉氏。競技プログラムを志す若者のバイブルとして、表紙のイラストから「アリ本」呼ばれて親しまれている『プログラミングコンテストチャレンジブック』の著者の一人でもある。講演では「大会に出て、プログラミングよりも数学的なアルゴリズムのほうがはるかに重要だということに気づかされた。多くのライバルに出会って切磋琢磨することもできた。情報オリンピックは決して天才向けのコンテストではなく、とても簡単なところから誰でも参加できる。たとえメダリストになれなくても挑戦する価値は大きい」と話した。

シンポジウムには、科学に興味をもつ子どもたちをはじめ400名が参加した
シンポジウムには、科学に興味をもつ子どもたちをはじめ400名が参加した

日本の科学は大丈夫なのか……

 パネルディスカッションでは、冒頭に講演した2名に加え、第39回国際化学オリンピック銅メダリストで東京大学助教の廣井卓思氏、第18回国際生物学オリンピックで銅メダルを獲得し、現在富士通でデジタルマーケティングを担当する本多健太郎氏、さらにモデレーターとしてジャーナリストの池上彰氏が登場。「池上彰さんと考える日本の科学と君の未来」と題して議論を交わした。まず池上氏は「好きなことを学ぶ、という事はとても大事」と話しながら、「今日本の科学は大丈夫なのかという危機感がある。ノーベル賞受賞者ランキングで日本は世界7位にとどまり、博士号取得者は減ってきている。論文の被引用回数が各分野で上位10%に入る論文『トップ10%論文』のシェアも中国に抜かれている状況」として、パネラーに科学の重要性や役割について意見を求めた。

日本の科学は大丈夫なのかと、問題を提起するジャーナリストの池上彰氏
日本の科学は大丈夫なのかと、問題を提起するジャーナリストの池上彰氏

 古川氏は「現在、米国発のGAFA(Google Apple Facebook Amazon)に付加価値が集中している。日本からもこうした企業が生まれてほしい。そのためには、大企業の集団的な力ではなく、天才的な若い人の力が必要。社会として、そうした人たちを育てていく環境も重要だ。優れた人材をもっとリスペクトする文化の醸成も不可欠。産業界は四半期単位で業績を問われる。もっと中長期的な視点で、産業の革新性に取り組んでほしい。私は45年にちょうど100歳を迎える。AIが人間を超えるシンギュラリティのポイントと言われている年だ。しかし実際、そういうことはまず起こらないと思う。人間に備わっている思考力や疑問を思う力を、AIが担うことはできないからだ。シンギュラリティが来るのか来ないのか、そこまで生きて確かめたい」と話した。

日本の科学の発展のためには天才的な若い人の力とそれを育てていく社会が不可欠と語る 古川一夫氏
        日本の科学の発展のためには天才的な若い人の力と        それを育てていく社会が不可欠と語る 古川一夫氏

AIができないことは、人間ならではのクリエイティビティ

 秋葉氏は「実際にAIを研究開発しているが、すでに深層学習の研究開発の一部が自動化されつつある。例えば、ニューラルアーキテクチャーサーチと呼ばれている技術もその一つ。人間よりもいいものが作れるようになってきた。つまり深層学習の研究者は、自分たちが作った技術でAIに一部の仕事を奪われているわけだ。しかし、クリエイティビティはAIではまかなえない。目的がしっかりしているものには適応しやすいが、ふわっとしているものは苦手。将棋が人間を越えたのはずいぶん昔。しかし囲碁はつい最近だ。理詰めだけでなく『形の良し悪し』を認識するのは、AIにとって難しい。ひらめきや、おもしろさも同じ。人間はそこで能力を発揮していけばいい。科学の世界はとても奥深い。どれだけ時間を使ってもやりすぎるということはない。何よりも大事なのは熱意。まずは熱中できることを見つけて、それを続けほしい」と話した。

何よりも大事なのは熱意。まずは熱中できることを見つけてと語る 秋葉拓哉氏
何よりも大事なのは熱意。まずは熱中できることを見つけてと語る 秋葉拓哉氏

 本多氏は「科学は身近で素朴な『なぜだろう』という疑問から始まる。機械では得られない発想だ。ここから自分でやってみたいと思ってスタートする研究にはエネルギーが沸く。そういうエネルギーをもつ人が創り出したものはすごい。今感じていることを大切にして取り組み続けること、そして、周りの人たちがそれを支えていくことが大事。科学こそ、より良い社会を創り出す根本的なエネルギーだと思う。また、自然の現象や不思議だと思ったことに対して、常に謙虚な気持ちでいてほしい。勉強を進めると分かった気になってしまうが、その先にもっと深いものが無限に続いているからだ。保護者の方々は、子どもが不思議だなと思って興味を持っていることに対して、学校の成績や就職、進学に直接関係なくても、背中を押してほしい。日本の社会や科学技術が元気を取り戻すにはそういう力が必要だ」と話した。

学校の成績や就職、進学に関係なくても、子どもの「なぜ」を大事にしてほしいと語る 本多健太郎氏
        学校の成績や就職、進学に関係なくても、           子どもの「なぜ」を大事にしてほしいと語る 本多健太郎氏

 廣井氏は「安室奈美恵の引退はとても悲しいが、彼女の歌が何か役に立つのか、と聞く人はいない。昨年、時間と空間のゆがみ「重力波」の観測がノーベル賞を受賞した。しかし『重力波は役に立つのか』というのは愚問だ。重力波が検出されたことそれ自体にワクワクする。これが科学の原点だ。損得勘定を抜きに、とにかく楽しいという事だけで研究を進めていくのが科学の姿。何かを付け足すことは、機械でもできるだろう。しかし『全く新しいところに一つ石を置く』『新しいアイディアのタネをつくる』ようなことは人間にしかできない。タネを育てるのはAIにやらせればいい。また、やるかどうか迷ったらやることが大事。とにかくやってみる。失敗してもいい。挑戦してみて初めて自分が何に向いているかが分かる」と話した。

新しいアイディアのタネをつくるようなことは人間にしかできないと語る 廣井卓思氏
新しいアイディアのタネをつくるようなことは人間にしかできないと語る 廣井卓思氏

 池上氏は「AIは改良することはできるが、全く新しいことを始める事はできない。今上天皇の教育責任者だった経済学者、小泉信三は『すぐ役に立つことはすぐに役に立たなくなる』と言った。今役に立つことだけやっていたら発展はない。疑問や驚きを大事にして科学する心を培ってほしい」と結んだ。

問題を解いて、アルゴリズムを体験

 シンポジウムの後半は、サイエンスショーやワークショップで具体的に科学の楽しさをアピール。特に中高生を対象に開いたワークショップでは、情報、生物学、化学の各コースに分かれ、実際に問題を解きながらそれぞれの世界の片鱗に触れることができた。「プログラミングって面白い」と題して開かれた情報コースのワークショップでは、プログラムの前に重要なアルゴリズムについて学んだ。

情報のワークショップでは、トランプや路線図をもとにして良いアルゴリズムを身をもって体験
情報のワークショップでは、トランプや路線図をもとにして良いアルゴリズムを身をもって体験

 取り組んだのはシャッフルしたトランプを順番に並び替える時、どんな方法が最も楽かという課題や、複雑な路線図をもとに移動する際に、目的地まで最短時間で着くルートをどうやって探すのか、といった課題。コンピューターを一切使わず、紙と鉛筆だけでアルゴリズムとは何かを体験した。(BCN・道越一郎)

情報オリンピックOBの先輩が、課題の解き方をサポート
情報オリンピックOBの先輩が、課題の解き方をサポート

2018年

9月

19日

高専プロコン開幕まであと40日! ラストスパートに腕を撫す

 全国高等専門学校第29回プログラミングコンテスト(高専プロコン)は、阿南工業高等専門学校を主管校に、10月27・28日、徳島市のアスティ徳島で本選が開催される。大会のテーマは「ITの未来はここにあるでないで!」だ。ちなみに「あるでないで」とは、徳島の方言、阿波弁で「あるじゃないか」の意。

 高専プロコンは、高専の学生たちが日頃の学習成果を生かしてIT分野のアイデアと実現力を競う場だ。与えられた課題に従って作品をつくる「課題部門」、自由なテーマで独創的な作品をつくる「自由部門」、与えられたルールの下でチーム同士が戦う「競技部門」がある。今年の課題部門は、高専が教育目標の一つに掲げる「地域貢献」をテーマにした新たな課題「ICT を活用した地域活性化」が出題された。また競技部門は、第26回長野大会から3年続いたパズルゲームが、今回、陣取りゲームに衣替え。3人一組のチームでマス目に区切ったフィールドで、いかに多くの陣地を占有するかを競う。

 5月の締め切りまでに、課題部門に41高専から56作品、自由部門に40高専から52作品、競技部門に60高専(キャンパス)からの応募があり、6月に行われた書類審査による予選で、課題部門20作品、自由部門20作品、競技部門59作品が本選出場を決めた。さらに、今年で競技部門が25回目を迎えることを記念して行われる「競技アイデア募集企画」は、OBチームも含めて10作品が予選を通過し、本選に臨む。

 高専プロコン本選に出場するチームは、いまの時期、本選当日に向けて毎日作品の仕上げとプレゼンテーションの練習に励んでいる。10月27・28日、お近くの方はぜひ足を運んで、高専生たちの発想する力とそれを実現する力をご覧いただき、また競技部門で繰り広げられる熱い闘いを楽しんでいただきたい。
(ITジュニア育成交流協会 市川正夫)

2018年

9月

13日

小中高校生のロボコンWRO、金沢で決勝大会、13組がタイ大会に進出決める

 WRO(World Robot Olympiad) Japanは9月9日、「第15回 WRO Japan 2018 決勝大会 in 金沢」を石川県金沢市の医王山スポーツセンターで開催。全国から地区予選を勝ち抜いた小学生から高校生までの130チーム・390名が集まり熱戦を繰り広げた。

競技エリアでは競技の前に試走させてプログラムや本体を調整することができる
競技エリアでは競技の前に試走させてプログラムや本体を調整することができる

 自律走行ロボットで戦うレギュラーカテゴリーのうち、難易度の高い国際ルールに基づいて実施するのがエキスパート競技。小学生、中学生、高校生と部門が分かれており、それぞれの優秀チームが日本代表に選ばれる。例えば高校生部門では、ロボットが船に食糧を積み込み、その上に保温用の蓋を乗せた後にゴールするという課題だ。複雑なミッションだけに、完璧にクリアするチームが少ない中、優勝した奈良県の高校生二人組チーム「analyzer Λ(ラムダ)」はスピーディーかつ完璧にミッションをこなした。競技中「よし、よし」とロボットに気合いを入れるように動きを追いかける姿が印象的だった。

優勝した奈良県の高校生二人組チーム「analyzer Λ」のスタート場面
優勝した奈良県の高校生二人組チーム「analyzer Λ」のスタート場面

 WROは、市販されているロボットキットを使い、自分たちでロボットを組み立て、自分たちで走行プログラムを書き、自律走行させてその精度やゴールまでの時間を戦う。およそ横1m、縦2mのコース上に、目印になる線が引かれ、オブジェクトと呼ばれる複数のブロックを配置。ロボットを走らせ、課題に沿ってブロックを特定の場所に再配置するなどして指定された場所にゴールさせる。ブロックを引っかけたり押し出したりする機構をロボットに実装し、プログラムを書いてコントロールする。スタートするとあとはロボットまかせ。手を触れることもできなければ、無線で操作する事もできない。

小学生も熱心に参加。チームで力を合わせてロボットを組み立てる
小学生も熱心に参加。チームで力を合わせてロボットを組み立てる

 プログラミングは、ロボットの動作が定義されたアイコンをPCの画面上でつなげていくだけで組むことができる。しかし現物のロボットを動かすため、コース上のわずかな凹凸やモーターの出力のばらつきなど、物理的な環境にも影響され微妙に動きが変わってしまうことがある。そうした誤差を乗り越えてどうやって課題をクリアしていくか、柔軟な発想も求められる。(BCN・道越一郎)

アイコンをつなぎ合わせることで、プログラムをつくっていく
アイコンをつなぎ合わせることで、プログラムをつくっていく

2018年

9月

10日

日本代表、金1銀1銅2と全員メダル獲得、国際情報オリンピック表彰式

 世界中の中高生がプログラミングで戦う国際オリンピック、第30回国際情報オリンピック日本大会(IOI 2018 JAPAN)の閉会式・表彰式が9月7日、茨城県つくば市のつくば国際会議場で開かれた。総合優勝には、優勝候補として呼び声の高かったアメリカのBenjamin Qi選手が輝いた。日本代表選手では、北九州工業高等専門学校3年の井上航選手が金メダルを獲得した。

総合1位を獲得したアメリカのBenjamin Qi選手
総合1位を獲得したアメリカのBenjamin Qi選手

 日本初開催の今回は87の国と地域から335名の選手が参加。9月3日と5日の2日間、計10時間に亘って6つの難問に挑んだ。ルールでは参加上位12分の1までの選手に金メダルが与えられ、以降一定の比率で銀、銅メダルが与られる。

 井上選手に続く銀メダルには灘高等学校3年細川寛晃選手選手、銅メダルにはN高等学校3年の清水郁実選手、筑波大学附属駒場高等学校2年の行方光一選手が輝き、代表選手4人全員がメダルを獲得した。`また、公式記録の対象とはならないが、開催国に認められる特別枠で参加した選手も大健闘。「金メダル相当が筑波大学附属駒場高等学校1年の米田優峻選手、銀メダル相当が開成高等学校1年の米田寛峻選手、灘高等学校1年の平木康傑選手、銅メダル相当が京都市立堀川高等学校3年の岸田陸玖選手と好成績を収めた。」

金メダルを獲得した日本代表の井上航選手選手
金メダルを獲得した日本代表の井上航選手選手

 金メダルを獲得した井上選手は「1日目の問題『座席』が思いのほか難しく、満点を狙いに行ったのがやや失敗だった。2日は完ぺきだった。金メダルが獲れてほっとしている」と話した。来年31回目を迎える次回のIOI 2019は、アゼルバイジャンの首都バクーで開催される。(BCN・道越一郎)

2018年

9月

07日

10時間の死闘を経て井上選手が金メダルほぼ確定! 国際情報オリンピック本戦終える

 世界中の中高生がプログラミングの技を競うオリンピック、第30回国際情報オリンピック日本大会(IOI 2018 JAPAN)が9月5日、熱戦の幕を閉じた。総合1位は600点満点中499点を獲得した米国のBenjamin Qi選手、2位は469点で中国のMaolong Yang選手、3位も466点で中国のZhenting Zhu選手という結果になった。日本人選手でトップは北九州工業高等専門学校3年の井上航選手で、428点を獲得し総合6位タイにつけた。また、特別参加選手ながら筑波大学附属駒場高等学校1年の米田優峻選手が362点で17位タイにつけ、大健闘した。

日本選手団トップは428点で総合6位を獲得した北九州工業高等専門学校3年の井上航選手
日本選手団トップは428点で総合6位を獲得した北九州工業高等専門学校3年の井上航選手

 IOI 2018 JAPANの本戦は3日と5日の2日間、計10時間にわたって行われた。今大会では87の国と地域から342名の若きプログラマーが参加。メダルの授与は、上位12分の1の選手に金メダル、以下12分の2までの選手に銀メダル、12分の3までの選手に銅メダルというルールで、正式結果は9月7日の表彰式で発表される。

熱戦の模様はウェブサイト上で公開された。戦いが終わった9月5日14時11分時点での順位と得点
熱戦の模様はウェブサイト上で公開された。戦いが終わった9月5日14時11分時点での順位と得点

 1日目の問題は、秘密のコマンドを探し出す「コンボ(combo)」、人間の姿と狼の姿をもつ狼男が人目につかないように旅行する方法を探る「狼男(werewolf)」、国際プログラミングコンテストの座席表の美しさを計算する「座席(seats)」の3問。多くの選手が「座席」で苦戦した中、優勝した米国のBenjamin Qi選手だけが唯一100点満点を獲得、他の問題も満点で1日目を300点満点で折り返した。

本戦会場での練習風景。このような配置で342名の選手が2日間・10時間にわたり熱戦を繰り広げた
本戦会場での練習風景。このような配置で342名の選手が2日間・10時間にわたり熱戦を繰り広げた

 2日目は、人形を動作させる回路を組んでいく問題「からくり人形(doll)」、高速道路の交通量と料金を計算する問題「高速道路の通行料金(highway)」、山で開催する会議費用を最小にする問題「会議(meetings)」3問が出題された。初日より難しい問題だったようで2日目の最高点は250点にとどまった。優勝したBenjamin Qi選手は1日目のアドバンテージを生かして、無難に点数を積み上げ、2位と30点差で優勝を勝ち取った。また、中国選手は2位と3位につけたほか6位、24位にも位置しており、全員が金メダルの水準で戦いを終えた。(BCN・道越一郎)

2018年

9月

04日

国際情報オリンピックが開幕、秋篠宮佳子さまがお言葉、大会初日で満点の選手が!

 87の国と地域から341名の中高生が一堂に会しプログラミングの腕を競う第30回国際情報オリンピック日本大会(IOI 2018 JAPAN)が茨城県つくば市で開幕した。つくば国際会議場で9月2日開かれた開会式には秋篠宮佳子さまもご臨席。セレモニーはすべて英語で行われるのにあわせ英語でスピーチされた。


 佳子さまは「情報科学は技術革新に不可欠です。このIOIをきっかけとして若い人たちの関心を呼び起こすことを期待しています。選手の皆さんは、もしかするとすでにネット上では知り合いかもしれません。しかし実際に対面して話し合うのはすばらしいことです。お互いのコミュニケーションを楽しみ、経験を共有して友情を深めてください。皆さんがこのIOIで最善を尽くすことを願っています」とお言葉を述べられた。

IOIをきっかけとして若い人たちの関心を呼び起こすことを期待していますとお言葉を述べられる、 秋篠宮佳子さま
IOIをきっかけとして若い人たちの関心を呼び起こすことを期待しています    とお言葉を述べられる、 秋篠宮佳子さま

 開会の挨拶で壇上に立った第30回国際情報オリンピック日本大会組織委員会の古川一夫 委員長は「30回目と節目の大会の今回、日本で初めての開催を実現し、87の国と地域から選手団を迎えることができた。情報技術で才能あふれる選手諸君が、このオリンピックで本来の実力を発揮してほしい。そしてゆくゆくは、次世代の情報社会を皆さんが世界でけん引してほしい」と話した。

開会の挨拶を行った、第30回国際情報オリンピック日本大会組織委員会の古川一夫 委員長
開会の挨拶を行った、第30回国際情報オリンピック日本大会組織委員会の古川一夫 委員長

 また来賓として挨拶に立った林芳正 文部科学大臣は「AIやIoT、ビッグデータなど、技術が急速に進展している現在、社会を大きく変える原動力は情報科学技術だ。大会に参加する選手諸君は国際社会が抱える問題の解決に必要な技術を生み出していく可能性を秘めている。今大会の経験を生かし、将来の科学技術をけん引する人材に育って欲しい」と話した。

将来の科学技術をけん引する人材に育って欲しいと話す、林芳正 文部科学大臣
将来の科学技術をけん引する人材に育って欲しいと話す、林芳正 文部科学大臣

 開会式後半では、アルゼンチンから国名のABC順に代表選手団をスクリーンに映しながら紹介。1か国あたり選手4名、コーチ2名までの参加が認められているが、コーチと選手2名で参加しているトルクメニスタンやベネズエラの選手にはひときわ大きな拍手と歓声があがった。

 最後に紹介されたのが日本選手団。代表選手4名と開催国に与えられた特別参加枠の選手4名も加えた計8名の選手と、2人のコーチにも大きな拍手と歓声が贈られた。

選手紹介でひときわ大きな拍手をと歓声を浴びた日本選手団
選手紹介でひときわ大きな拍手をと歓声を浴びた日本選手団

 今回の日本代表選手は、北九州工業高等専門学校3年の井上航 選手、N高等学校3年の清水郁実 選手、筑波大学附属駒場高等学校2年の行方光一 選手、灘高等学校3年の細川寛晃 選手の4名。また、特別参加選手は、京都市立堀川高等学校3年の岸田陸玖 選手、灘高等学校1年の平木康傑 選手、開成高等学校1年の米田寛峻 選手、筑波大学附属駒場高等学校1年の米田優峻選手の4名だ。また、問題の翻訳などで選手をサポートするコーチ陣は、東京大学工学部計数学科4年の小倉拳 団長、筑波大学情報学群情報科学類3年の松崎照央 副団長の2名。総勢10名の選手団となる。

今回の日本代表選手とコーチ
                   今回の日本代表選手とコーチ                        (左から、松崎照央 副団長、細川寛晃 選手、行方光一 選手、清水郁実 選手、井上航 選手、小倉拳 団長)

 「IOI 2018 JAPAN」の全日程は9月1日から8日までの8日間。実際の競技は3日と5日の2日間に渡って行われる。

 問題は1日3問ずつの合計6問。5時間ずつ計10時間かけて戦う。C++、Pascal、JAVAのいずれかでプログラムを組み、問題を解いていく。配点は1問につき100点。回答を間違えてもペナルティーなどはなく、計600点満点で点数の高さのみを競う。問題ごとにプログラムが回答を出すまでの制限時間が設けられており、使用できるメモリにも制限がある。より効率的なアルゴリズムによって問題を解くと高い点数が与えられるため、「力業」ではなく、より「エレガント」なプログラミングが求められる。

競技初日を前日に控えた2日、本番と同じ会場で練習問題を使って行われた予行演習
競技初日を前日に控えた2日、本番と同じ会場で練習問題を使って行われた予行演習

 1日目の問題は、秘密のコマンドを探し出す「コンボ(combo)」、人間の姿と狼の姿をもつ狼男が人目につかないように旅行する方法を探る「狼男(werewolf)」、国際プログラミングコンテストの座席表の美しさを計算する「座席(seats)」の3問。コンボは多数の選手が100点満点を獲得し、比較的簡単だったようだが、狼男はやや難しく、座席は100点満点は1名のみだった。

 1日目の競技が終わった9月3日時点で、トップは優勝候補との呼び声が高いアメリカのBenjamin Qi選手。唯一300点満点を獲得した。日本選手では北九州工業高等専門学校3年の井上選手が217点で同率11位タイと上位につけている。
(BCN・道越一郎)

練習問題を解きながら機器のチェックを行う日本選手団
練習問題を解きながら機器のチェックを行う日本選手団