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2018年

4月

23日

大学対抗プログラミング世界大会で東大が金メダル――ACM-ICPC 2018 北京

【中国・北京発】4月19日、中国・北京市で開催された「ACM-ICPC 世界大会 2018 北京」で、東京大学が11問中8問を正解して総合4位となり、金メダルを獲得した。総合1位のワールドチャンピオンはロシアのモスクワ大学(9問正解)、2位は同じくロシアのモスクワ物理工科大学(8問)、3位はホスト校の北京大学(8問)で、それぞれ金メダルを獲得した。

5時間の熱戦が繰り広げられる

 今回で42回目を数えるACM-ICPCは、大学対抗の国際プログラミングコンテスト。08年の北京オリンピックで卓球が行われた北京大学体育館を舞台に5時間の熱戦を繰り広げた。日本からは東京大学に加えて東京工業大学、筑波大学の3校が出場。東工大は5問正解して11位、つくば大は2問正解して132位と健闘し、熱い戦いを終えた。

見事金メダルに輝いた東大チーム。左から、笠浦一海さん、隈部壮さん、劉鴻志さん、コーチの金子知適准教授
見事金メダルに輝いた東大チーム。左から、笠浦一海さん、隈部壮さん、劉鴻志さん、コーチの金子知適准教授

 今年の問題はAからKまでの11問。どの問から始めるかは自由で、取り組む順番も勝敗を左右する要素になる。会場のスクリーンやネット上では、戦況を示すスコアボードを公開し、どの大学がどの問を正解したかやその時点での順位などをリアルタイムで伝えた。序盤戦は日本勢がなかなか正解できずに気をもむ場面もあった。開始42分で東大チームが問Kを一発正解したが、次の問題Fには苦戦し、5回目の提出でやっと正解した。他の上位チームが一発で正解するなか、やや手こずった印象だ。

最終盤に2問を正解してやり切った笑顔がこぼれる東大チーム
最終盤に2問を正解してやり切った笑顔がこぼれる東大チーム

 その後、2問を一発で正解し、徐々に難易度の高い問題に突入していった。残り時間が1時間を切るとスコアボードの更新が止まり、以降、どの大学がどの問題を解いたかの進捗がわからなくなる。そこからが正念場だ。

 この時点で東大チームは6問正解で総合12位。メダルが授与されるのは上位12~13チームまでで、メダル獲得のぎりぎりのポジションだった。東大の選手は、笠浦一海さん、隈部壮さん、劉鴻志さんの3人。コーチは金子知適准教授が務めた。昨年の米国大会でも銅メダルを獲得したチームだ。

 もともと終盤追い込み型で、国内予選のアジアつくば大会でも最後の1時間で逆転で優勝した。今回も終盤の追い込みに期待が高まったが、その期待に応えて最後の1時間で難問を2問立て続けに解き、総合4位まで順位をジャンプアップ、金メダル獲得にたどり着いた。表彰式の結果発表では一時東大チームがトップになる場面もあったが、ロシアや中国の強豪校には惜しくも及ばなかった。

ワールドチャンピオンに輝いて優勝カップを掲げるモスクワ大学チーム
ワールドチャンピオンに輝いて優勝カップを掲げるモスクワ大学チーム

 今年4月に就職し、今回が最後のACM-ICPC出場になった劉さんは、「僕たちのチームはもともとスロースターターで、これはどうしようもない」と謙遜するが、土壇場の集中力はピカイチ。結果がそれを証明した。

 東大チームのコーチ、金子准教授は「今年は問題の難易度がとても高かった」と振り返る。総合1位のモスクワ大学ですら全11問中正解は9問。問Cと問Jの2問はどこも正解できなかった。ICPCボードとして運営に携わる東京大学の山口利恵准教授は、「選手にとってはおそらく一生のうちで最も集中する5時間。飲食も忘れて戦う選手たちの姿を見てほしい」と話した。

会場は、08年の北京オリンピックの卓球会場だった北京大学体育館。正解するとその問題の色の風船が掲げられる
会場は、08年の北京オリンピックの卓球会場だった北京大学体育館。正解するとその問題の色の風船が掲げられる

 ACM-ICPCは、1台のパソコンを使ってプログラミングで課題を解くコンテスト。大学別の3人1チームで戦う。ニューヨークに本部を置くコンピュータの国際学会ACM(Association for Computing Machinery)が主催する。国際大会なので、コンテストの進行や問題文はすべて英語だ。問題の難易度は極めて高く、普通の大人が読んでも問題内容を理解することすら難しい。5時間の制限時間中、10から11の難題を解いていく。より多くの課題をより短い時間で解くことが求められるが、誤答やプログラムの動作が長すぎた場合などはペナルティが加算されるルールだ。

 決勝戦では、世界各国の地域予選を勝ち抜いた大学チームがしのぎを削る。今回は140校が出場した。1問正解すると、チームのブースにどの問題を正解したかを色で表す風船が掲げられ、最初に問題を正解したチームには特別の色や形の風船が掲げられる。次回、2019年大会に向けたアジア地区・日本予選は、7月6日、横浜で開催される。

 

(BCN・道越一郎)

2018年

4月

16日

中国プログラミング教育最前線(5)済南大学情報科学工学学院

 中国・山東省済南市の済南大学は、山東省政府と中国・教育省、山東省の主要な建設大学が共同で設立した総合大学だ。済南市の南部に位置し、全体でおよそ3万7000人の学生が学んでいる。24の学院を擁し、およそ300人の教授、700人の准教授をはじめ、2100人の教員が教鞭を執っている。このうちコンピュータ教育を担う学院が情報科学工学学院だ。ここでコンピュータサイエンス工学科の主任を務める蔺永政教授に、済南大学のコンピュータ教育について聞いた。

 

4学科で2400人が学ぶ、4年次には実践的な教育を

 情報科学工学学院には、コンピュータサイエンス工学科、電子通信工学科、ネットワーク工学科、コンピュータ公共学科の4つの学科がある。学生はそれぞれおよそ600人ずつの計2400人。大学院生はおよそ130人が在籍し、教員は全部で140人を数える。いずれの学科もソフトウェアとハードウェアの両方を取り扱う。

中国・山東省 済南市南部にある済南大学
中国・山東省 済南市南部にある済南大学

 蔺教授が在籍するコンピュータサイエンス工学科では、1年次にC言語を中心にソフトウェアの基礎を学ぶ。ソフトウェア開発では、Javaと.netを中心にAndroidやiOSなども取り扱う。2年次に専攻がコンピュータ系とインターネット系に分かれる。コンピュータ系は、ソフトウェア開発とハードウェア設計などを中心に学ぶ。インターネット系はインターネットの基礎知識とセキュリティの知識などを中心に学び、さらにJavaか.netのいずれかを選んで、それぞれ知識を深めていく。3年次にはコーディングに加え、概要設計から詳細設計など、設計法が入ってくる。ハードウェアについても、システム設計などを学んでいく。4年次には、企業でのインターンなどを通じて実践的な知識と経験を積みながら、卒論に取り組むという流れだ。

山東大学情報科学工学学院コンピュータサイエンス工学科の主任を務める蔺永政教授
山東大学情報科学工学学院コンピュータサイエンス工学科の主任を務める蔺永政教授

今秋にもAI関連専門学科を設置、サーバーの国内トップ企業と連携

 蔺 教授は「最近は、プログラミングの基礎の部分からAI開発に親和性のあるPythonも教材として使っている」と話す。実は済南大学はAI関連の教育では定評がある。現在、山東省でAI専門学科を設けているのは唯一青島大学だけだが、済南大学もこの9月の新学期開始を目指し、AI学科を設立する予定で準備を進めている。また山東省のAI関連の研究施設も済南大学に設置されている。AI関連教育は、もともと大学院生向けに展開していたが、2010年から学部生向けに拡大。2014年から本格的なAI関連教育を開始した。そして今年、中国のサーバーでトップシェアを誇るインスパーと連携して、来るべきAI時代に活躍できる人材の育成を開始する。

済南大学情報科学工学学院。卒業生は就職先でほぼ100%開発業務に
済南大学情報科学工学学院。卒業生は就職先でほぼ100%開発業務に

 済南大学情報科学工学学院の卒業生は、15~20%の学生が大学院に進学。70~80%が情報系の企業に就職する。2~3%程度が公務員になったり、海外に留学したりというかたちで、就職する学生のほぼ100%がソフトウェア開発の仕事に就いている。そこからキャリアを積んで、設計やコンサルティングなどに進んでいる事例が多い。「山東省は全国でも2番目に学生が多い省で、全部で毎年約50万人が入学している。そのなかでもコンピュータ関連の学院や学科は人気がある。就職先に事欠かないことも理由の一つだろう。入学時はコンピュータ系を選んだ目的が明確でない学生が多いが、3年生あたりから進路もみえはじめ、就職先をにらみながら実践的な勉強をしていくイメージだ」(蔺教授)。

 日本では20年に小学生へのプログラミング教育が始まるが、まだ具体的な内容は決まっていない。若年者のプログラミング教育について、蔺教授に意見を聞いた。「中国でも若年者向けプログラミング教育は始まっているが、省ごとに大きく異なっている。山東省の一部の小学校ではCの授業を行っているところもあれば、広東省・広州の中学校ではPythonの教育を始めているところもある。各地の小学校で特に多いのは、ロボットの組立てなどと組み合わせて。目に見えるかたちで教えていくカリキュラムだ」。蔺教授は、具体的でわかりやすい「モノ」が介在する教育が、子どもにとってわかりやすいのではないか、と語った。

(ITジュニア育成交流協会・道越一郎)

2018年

4月

13日

U-16プロコン札幌大会開催へ、実行委員会が発足

 8年前、北海道旭川市で産声を上げたU-16プログラミングコンテスト(U-16プロコン)。旭川、釧路、帯広に続く道内4都市目の開催を目指して、有志たちの奮闘が始まった。旭川大会の話を聞き、情報を集めながら構想を温めてきた北海道情報セキュリティ勉強会代表/LOCAL理事の八巻正行さんが手を挙げて協力者を募り、U-16プロコン札幌大会のキックオフミーティング/第1回実行委員会開催にこぎ着けた。

U-16プロコン札幌大会キックオフミーティング/第1回実行委員会
U-16プロコン札幌大会キックオフミーティング/第1回実行委員会

 4月7日の午後、札幌市中央区の会議室には、北海道のOSSコミュニティである一般社団法人LOCALのメーリングリストやホームページでの告知などを通じて集まった23人がいた。IT企業のプログラマやプログラミング教育関係者、高校教諭や専門学校関係者など、横顔はさまざまだが、大会の開催目的――①パソコンが好きな子どもたちの夢や目標となる場所を提供する②子どもたちにプログラミングやITに関する興味を深めてもらい、ITに興味をもつ子どもたち同士の健全な交流と、将来のITエンジニア育成につなげる――に賛同した志は同じ。ここに旭川でU-16プロコンを立ち上げたメンバーの一人、北海道旭川工業高校の下村幸広教諭がアドバイザーとして加わった。コミュニティで顔を合わせる仲間もいるが、ほとんどは初対面ということで、キックオフミーティングは自己紹介から始まり、計画する大会の概要と競技部門で使用する対戦型ゲームプラットフォーム「CHaser」の説明で終了。同じメンバーで具体的な事項を決めていく第1回実行委員会に移った。

 実行委員会では、開催日や大会までのスケジュール、開催規模、会場候補、予算の検討、後援団体/協賛企業候補の洗い出しなどを行い、各実行委員に役割を振った。さらに、事前講習会で使用するプログラミング言語をPythonに決定。八巻さんをはじめ、U-16プロコンの実際の大会に行ったことがない人がほとんどで、すべて白紙からの立ち上げということで、旭川大会の例などを参考にしながらも、札幌という大都市で大会を実現するための検討事項は多い。実際に、後援団体/協力企業、会場などは、現段階では「候補」がほとんど。それでも、U-16プロコンの特徴である「プログラミングを学ぶ高校生や高専生が先生になって、子どもたちにプログラミングを教える」「『子どもたちの未来をつくる』という志を持った大人が運営を支える」「地域に根ざす」を維持しながら大会を成功に導くために、活発な討議が行われた。

 札幌市は人口196万人と、東京を除けば全国4位の大都市だ。そしてユネスコ創造都市ネットワークに加盟する札幌には、映画/音楽/インタラクティブのクリエイティブ産業を横断し、官民が一体となって開催する独自の国際コンベンション「No Maps」がある。「札幌ならでは」を追求しながら、しかし一方で政令指定都市で開かれるU-16プロコンのモデルとして、札幌大会にかかる期待は大きい。札幌農学校に学び、北海道を愛した文学者、有島武郎はこう書いた――草のなかった処に青い草が生える。花のなかった処にあらん限りの花が開く。人は言葉通りに新たに甦って来る。(『北海道に就いての印象』)

(文・写真 ITジュニア育成交流協会 市川 正夫)

2018年

3月

23日

高専教育システム、海外展開のいま――高専機構がシンポジウム

 時代に適合した実践的技術者を養成するために、5年間の一貫教育を柱に1962年に始まった高等専門学校制度。独立行政法人国立高等専門学校機構(高専機構)は、この教育システムを海外の技術者教育に役立ててもらおうと、高専型教育の海外展開を進めている。3月16日、高専機構は東京・大手町のパレスホテルで、この現況を報告する「『高専 is KOSEN』~日本の高専から世界の高専へ~ 高専の国際展開シンポジウム」を、日本経済新聞との共催で開催した。

 シンポジウムの第一部は「高専の未来戦略」と題して、日本経済新聞社の田中陽編集委員、宮城高専(現仙台高専名取キャンパス)のOBである日揮の石塚忠社長COO、高専機構の谷口功理事長が鼎談。石塚氏が誕生間もない時期の高専とその後のエンジニアを巡る環境の変化を語ると、田中氏は日経産業新聞の「高専に任せろ」の取材を通じて得た教育現場の現在を説明。そして谷口氏は「変わっていないのは、実験・実習を重視した専門教育」としながら、このユニークな教育制度をグローバルに展開していく意義を説いた。

 続く第二部「高専の国際展開」では、文部科学省から宮川典子政務官、高等教育局専門教育課の松永賢誕課長が政府の支援と期待を表明。その後、高専機構が海外展開の重点国に定めるモンゴル、タイ、ベトナムで高専教育制度の導入を進める3氏が各国の現況を説明した。東京高専出身で高専機構モンゴルリエゾンオフィス現地代表も務めるウランバートル市議会のツァガーン・バイガルマ議員は、現在開校している3高専の状況とそこで学ぶ学生たちの成長ぶりをアピール。タイ立法議会のコソン・ペッツワン議員は、今年5月に「タイ高専コース」を開講する2校のテクニカルカレッジを紹介した。ベトナム国会のギエム・ヴー・カイ議員は、高専コース設立を目指している4校の大学・短大を紹介しながら、今後、教員・学生の相互交流を推し進めていく意欲を語った。

 谷口功理事長は、「高専卒業生が『社会のお医者さん(Social Doctor)』として認知されるよう、国内外で活動していく。そして『KOSEN』を英語辞典『ウェブスター』に載せたい」と語り、シンポジウムを締めくくった。

(ITジュニア育成交流協会 市川正夫)

2018年

2月

16日

入賞者は日本代表候補として合宿へ、日本情報オリンピック本選開催

 情報オリンピック日本委員会は、2月10・11日の2日間、第17回日本情報オリンピックの本選を茨城県つくば市のつくばカピオで開催した。4時間の熱戦の末、見事金賞に輝いたのは筑波大学附属駒場中学校3年生の米田優峻さん。9月に開催される第30回国際情報オリンピックの日本代表選手候補の一人に選ばれた。

 

日本情報オリンピック本選会場のつくばカピオ
日本情報オリンピック本選会場のつくばカピオ

 

 第17回日本情報オリンピックは、12月に開催された予選に961人が参加。ここで選抜された80人が今回の本選に出場した。委員会が事前に準備したノートパソコンを使って、CまたはC++言語でプログラミングして問題を解く。ソースコードを提出し、正しければ得点が与えられる。競技時間は4時間で、問題は5問。満点は500点だ。5問中2問は比較的平易な問題だが、残り3問は国際大会クラスの難問。引率の先生方からは「年々問題が難しくなっている」との声が聞かれた。

 

アリーナにはキーボードを叩く音だけが響く
アリーナにはキーボードを叩く音だけが響く

 

 つくばカピオのアリーナに集まった80人の選手たちは、持込みが許されているチョコレートやアメ、マスコット人形などを机に配置し、プログラミングに集中。会場は、キーボードを叩く音だけが聞こえる緊張感溢れる雰囲気だ。引率の先生方が会場で観戦できるのは開始から10分までで、それ以降は選手たちだけ世界。静かだが激しい戦いが続いた。

 激戦の末、金賞に輝いたのは筑波大学附属駒場中学校3年生の米田優峻さん。銀賞は3人で、北九州工業高等専門学校2年生の井上航さん、N高等学校2年生の清水郁実さん、筑波大学附属駒場高等学校1年生の行方光一さんが獲得した。銅賞の該当者はおらず、16人に優秀賞が授与された。金賞、銀賞の4人と優秀賞の16人は、9月に開催される第30回国際情報オリンピックの日本代表候補として、3月に開かれる春期トレーニング合宿に招待される。ここでの成績にもとづいて、最終的に4人の日本代表選手を決める。

 

机上に置いたマスコットでリラックスする選手が多かった
机上に置いたマスコットでリラックスする選手が多かった

 

 第30回国際情報オリンピック日本大会は、9月1~8日の8日間、日本大会と同じつくばカピオのつくば国際会議場で、85の国・地域から約860人が参加して開催される。国際情報オリンピックの日本での開催は今回が初めてで、情報オリンピック日本委員会では、企業や団体、個人から広く協賛・協力を求めている。

 なお、日本委員会は3月24日、第17回日本情報オリンピックの表彰式と第30回国際情報オリンピックの日本代表選手発表会を東京都目黒区のNTTデータ駒場研修センター イベントホールで開催する。式典では記念講演会も予定している。情報オリンピック日本委員会事務局に登録すれば、式典に出席できる。協賛や表彰式など、くわしくは情報オリンピック日本委員会事務局(TEL.03-5272-9794/e-mail:info@ioi2018.jp)まで。


(ITジュニア育成交流協会 道越一郎)

 

本選終了後の問題解説会で解き方へのアプローチをていねいに説明
本選終了後の問題解説会で解き方へのアプローチをていねいに説明

2018年

2月

08日

「BCN ITジュニア賞 2018」表彰式で若者とNo.1企業が交流

 BCNが1月26日、東京・港区のTKPガーデンシティ品川で開催したBCN AWARD 2018/BCN ITジュニア賞 2018の表彰式では、トロフィー・賞状授与のセレモニーに続き、ITジュニア賞を受賞した生徒・学生とAWARD受賞企業の懇親会が開催された。会場には、受賞対象のコンテストに出展した作品を展示・解説するブースを設け、ITジュニアがBCN AWARD受賞企業関係者からの質問に答えたり、他の受賞者の作品を見学したりなど、交流を深めた。

 

BCN AWARD 2018/BCN ITジュニア賞2018懇親会
BCN AWARD 2018/BCN ITジュニア賞2018懇親会

 

 今回で13回目となるBCN ITジュニア賞では、16歳以下を表彰するBCN ITジュニア U-16賞を新たに創設。受賞者は、第4回U-16プログラミングコンテスト北海道大会・競技部門で優勝した北海道旭川市立愛宕中学校の成瀬有翔さん、第2回U-15プログラミングコンテスト松山大会で優勝した愛媛県伊予市立港南中学校の井上晶さん、第1回U-16プログラミングコンテスト三重大会・小学生部門で最優秀賞を受賞した三重県津市立南立誠小学校の田丸皓大さんで、表彰式では3人が同時にステージに立った。大勢が集まる懇親会の場では3人とも緊張した面持ちだったが、先輩や大人たちからの激励にしっかり応えていた。

 

】BCN ITジュニアU-16賞 2018を受賞した田丸皓大さん(左)、井上晶さん(中央)、成瀬有翔さん
】BCN ITジュニアU-16賞 2018を受賞した田丸皓大さん(左)、井上晶さん(中央)、成瀬有翔さん

 

 また、昨年12月に中国・四川省で開催されたモバイルアプリケーションの企画・開発コンテスト、Galboa(ガルボア)杯で優秀な成績を収め、BCN ITジュニア特別賞を受賞した成都ソフトウェア学院の宋欣蔓さんと厳鵬さんに、NPO法人ITジュニア育成交流協会の協賛企業から副賞が渡された。

 

BCN ITジュニア特別賞を受賞した成都ソフトウェア学院の宋欣蔓さん(左)と厳鵬さん
BCN ITジュニア特別賞を受賞した成都ソフトウェア学院の宋欣蔓さん(左)と厳鵬さん

 

 懇親会の間には、協会協賛企業のうち、副賞を提供した企業の方がITジュニアのブースを回り、副賞を手渡しながら受賞者に期待を込めて言葉をかけた。各受賞者の出典作品とコメントを紹介しよう。

 

●STEP――スコアブックと連動する動画閲覧システム 制作チーム(国立鳥羽商船高等専門学校)

左から、喜田真吾さん、濱口実弓さん、小山紗希さん、日本事務器株式会社の佐々木雅章執行役員技術本部長兼CTO
左から、喜田真吾さん、濱口実弓さん、小山紗希さん、日本事務器株式会社の佐々木雅章執行役員技術本部長兼CTO

 バレーボールなどのプレーを動画で撮影しながら、タブレットで得点やミスを記録していくと、スコアブックとダイジェスト動画ができるスポーツ分析システム。全国高等専門学校第28回プログラミングコンテスト(高専プロコン)の課題部門で文部科学大臣賞(最優秀賞)を受賞した。「運動部員からフィードバックを得ながら、実用的なシステムとして活用できるよう改良を重ねた」。

 

●EachTouch 制作チーム(国立香川高等専門学校詫間キャンパス)

前列左から時計回りに、吉田雄作さん、山崎佑馬さん、田上大智さん、指導教員の金澤啓三准教授、NPO法人ITジュニア育成交流協会の市川正夫理事・事務局長、竹内貫太さん、高志克俊さん
前列左から時計回りに、吉田雄作さん、山崎佑馬さん、田上大智さん、指導教員の金澤啓三准教授、NPO法人ITジュニア育成交流協会の市川正夫理事・事務局長、竹内貫太さん、高志克俊さん

 磁気を使ってタッチパネルを実現するシステムで、大型画面でのゲームやクリエイションツールなどに活用できる。第28回高専プロコンの自由部門で文部科学大臣賞を受賞した。「約1200個のセンサで磁気を検出している。これをすべて手作業で取りつけるのに非常に苦労した」

 

●てんぱ組(東京都立産業技術高等専門学校品川キャンパス)

左から、株式会社バッファローの井上武彦代表取締役社長、和田靖広さん、高松健さん、波多野陸さん
左から、株式会社バッファローの井上武彦代表取締役社長、和田靖広さん、高松健さん、波多野陸さん

 パズルのピース形状をコンピュータに取り込み、プログラムによってパズルの解を求める第28回高専プロコン競技部門で文部科学大臣賞を受賞した。「実物のピースをデータ化する処理が難しいことに加え、ピースの問題を解くのも計算量が多く、難度の高い課題だった」

 

●宮城県工業高等学校情報研究部プログラミングコンテストチーム

左から、トレンドマイクロ株式会社の宍倉豊執行役員コンシューマ営業本部本部長、間山千寛さん、吉田大志さん、菅原敏夫さん、八端拓巳さん、加藤健一教諭
左から、トレンドマイクロ株式会社の宍倉豊執行役員コンシューマ営業本部本部長、間山千寛さん、吉田大志さん、菅原敏夫さん、八端拓巳さん、加藤健一教諭

 コマの動きをプログラムで制御しながら得点を獲得するゲームプラットフォーム「ChaserOnline」で戦う第38回全国高校生プログラミングコンテスト(高校プロコン)で優勝した。「どのような作戦で、どのように動けばより多くの得点を獲得できるか、アルゴリズムを考えるのが一番大変だった」

 

●OMNISCIENCE(立教新座高等学校)

左から、中島正晴さん、西村太雅さん、株式会社ドスパラの西尾伸雄代表取締役社長
左から、中島正晴さん、西村太雅さん、株式会社ドスパラの西尾伸雄代表取締役社長

 漂流する宇宙船の中でサバイバル生活をするSFゲーム「Draw Near」で、U-22プログラミング・コンテスト2017(総合)の経済産業大臣賞を受賞した。「宇宙船を拡張できるシステムなどに加えてグラフィックにもこだわり、多くのテクスチャデータをつくり込んだ」

 

●固有スキルせんたく板(埼玉県立越谷総合技術高等学校29期生)

左から、黒土直斗さん、山上翔さん、永薗朋弥さん、NPO法人ITジュニア育成交流協会の市川正夫理事・事務局長
左から、黒土直斗さん、山上翔さん、永薗朋弥さん、NPO法人ITジュニア育成交流協会の市川正夫理事・事務局長

 アナログ電子回路をコンピュータ上で設計して動作をシミュレーションする「Circuitor」で、U-22プログラミング・コンテスト2017(プロダクト)の経済産業大臣賞を受賞した。「高校数学の範囲では回路の解析ができず、大学レベルの数学を習得する必要があった。独学で学んだので一番大変だった。実用的なソフトウェアにするには速度が必要で、アルゴリズムの調整にも苦労した」

 

●小川広水さん(東京都立小石川中等教育学校)

小川広水さん(左)とエレコム株式会社の柴田幸生常務取締役
小川広水さん(左)とエレコム株式会社の柴田幸生常務取締役

 ソフトウエアをより簡単に開発できるようにすることを目的に設計したプログラミング言語「scopion」で、U-22プログラミング・コンテスト2017(テクノロジ)「コンパイラとインタープリタの両方を開発していたが、時間がなくてインタープリタの開発を途中で断念したのが苦渋の決断だった。その後は自分のつくりたいものに集中し、楽しく開発することができた」

 

●大西海輝さん(四国職業能力開発大学校)

左から、株式会社アイ・オー・データ機器の細野昭雄代表取締役会長、大西海輝さん、指導教員の中山伸一講師
左から、株式会社アイ・オー・データ機器の細野昭雄代表取締役会長、大西海輝さん、指導教員の中山伸一講師

 競技時間内に組立て基板を製作し、それを制御するプログラムを書く第12回若年者ものづくり競技大会の電子回路組立て部門で、金賞/厚生労働大臣賞を受賞した。「受賞で自信がついた。競技プログラムでは課題が本番までわからないので、さまざまな課題に対応できるよう、事前にどれだけ準備しておくかが大事だった」

 

●石田有希人さん(愛媛県立松山工業高等学校)

左から、株式会社PFUの宮内康範ドキュメントイメージビジネスユニット執行役員、石田有希人さん、山岸貴弘教諭
左から、株式会社PFUの宮内康範ドキュメントイメージビジネスユニット執行役員、石田有希人さん、山岸貴弘教諭

 基板制作とプログラミングのスキルを競う第17回高校生ものづくりコンテストの電子回路組立部門で厚生労働大臣賞(優勝)を受賞した。石田さんは昨年の第12回若年者ものづくり競技大会では惜しくも銀賞。このコンテストでは電子回路組立部門唯一の高校2年生だったが、見事に優勝した。「毎日コツコツ続けることが大事だが、それが一番しんどい。がんばったことが結果につながってよかった」

2018年

1月

31日

中国プログラミング教育最前線(4)山東交通学院 情報科学・電気電子工学学院

 中国・山東省済南市の山東交通学院は、北京大学や精華大学などの一流大学群に次ぐ位置づけの国立総合大学だ。学生は全体でおよそ2万6000人で、1400人の教授が教えている。学部は自動車工学や鉄道交通、航空など交通に関するものを筆頭に、工学、理学、経営学など15に及ぶ。情報系の学部は情報科学・電気電子工学学院だ。ここで教鞭を執る張広淵副院長に情報系教育の現状について聞いた。

 

山東交通学院情報科学・電気電子工学学院の張広淵副院長
山東交通学院情報科学・電気電子工学学院の張広淵副院長

●企業のニーズに合致して第一線で活躍する人材を育成

 山東交通学院のなかでの情報科学・電気電子工学学院の位置づけは高い。大学独自の学部評価制度で算出すると、毎年変動はあるが、15学部のうち常に上位5位に入る。情報科学・電気電子工学学院は特に交通との関連性は薄いものの、あらゆるシステム開発の基礎を学ぶことができる学部として重要視されている。

 2000人の学生と80人の教授を擁する情報科学・電気電子工学学院は、電気工学・オートメーション学科、ソフトウェア開発のコンピュータ科学技術学科、情報管理・情報システム学科、電子情報学科という四つの学科に分かれている。電子情報学科はさらにIoT系のインターネットものづくり系と組込み系に分かれる。

 

山東交通学院 情報科学・電気電子工学学院
山東交通学院 情報科学・電気電子工学学院

 情報科学・電気電子工学学院のモットーは、国際化を視野に入れながら、応用力があって企業のニーズに合った第一線で活躍する人材の育成。特に企業ニーズの把握には力を入れ、提携企業へのアンケートや企業から講師を招いて開く特別講座などを通じて情報を収集。さらに夏休みなどを利用して、就職者が多い企業を先生や学生が訪れて調査したり、卒業生に対する追跡調査を行ったりして、多角的に企業ニーズを探っている。張副院長によれば、「2015年頃はHTMLや携帯アプリのニーズが高かったが、一昨年からはセキュリティやビッグデータ分野への関心が高まっている」という。一方で、「対日アウトソーシングに対する需要は、この2~3年でかなり落ちてきた」と語る。

 

●需要が高いSAP ERP、学生は引っ張りだこ

 特に需要が高いのは、主に情報管理・情報システム学科で扱うSAP ERPで、企業から大いに歓迎されている。在学中から入社のオファーがあり、1年目の年収が日本円でおよそ400万円に上ることもある。米調査会社のマッキンゼーによると、2015年の卒業生のうち、最も給与が高かったのは情報管理・情報システム学科の卒業生だったという。

 一方で、学生に人気があるのはセキュリティ分野。「情報が盗まれるという仕組みに興味がある学生が多いようで、進んで勉強する者が多い。次に人気があるのはビッグデータで、これは就職に有利という理由からだ。もちろん、コンピュータ原理やC/JAVAなどの言語、データベース原理など、基礎の基礎もしっかりと教えたい」と、張副院長は語る。組込み系学科では、学内で利用する指紋認証システムなどを開発しており、勉強の成果がかたちになるので、こちらも人気が高い。ハードとソフトの両方に強ければ就職にも有利になることから、人気がある。

 

学内で実際に使っている指紋認証の施錠システムは学生と共同で開発
学内で実際に使っている指紋認証の施錠システムは学生と共同で開発

 張副院長の研究分野は画像処理。「道を歩いている人たちを識別する技術や、医療機関向け画像処理などを研究している。さらに、顔の表情や運転の挙動などからドライバーの疲労度合いを自動的に判断するシステムなども研究している」(張副院長)。研究室には博士が4人、院生が3人、学部生が2~3人在籍し、一緒に日々研究を続けている。「例えば自動車関連では、現在は運転補助システムにとどまっているが、将来は自動運転やロボット分野に幅を広げたい」(張副院長)。

 

●就職した卒業生の9割前後がコンピュータ関連の仕事に就く

 学生の就職先は6~7割が国内の民間企業で、外資系が1~2割、国営企業や公務員が2割程度という比率だ。情報科学・電気電子工学学院の卒業生の約9割は何らかのコンピュータ系の仕事に就き、学んだ専門知識・技能を生かすことができる環境が整っている。就職先の地域は2割が済南市で、北京や上海、青島市でそれぞれ1割弱。残りもほとんどは山東省の他地域の企業に就職している。

 就職先は、有名なところではアクセンチュアやデロイトなどの外資系コンサルタントのほか、IBMやHP、ファーウェイなどのメーカーなど。日本のNECに就職して、東京に赴任している卒業生もいる。また、起業する学生も多く、教育関連機器を開発する会社で株式上場を果たしたOBがいるという。

 

●コンテスト参加は学業と不可分の位置づけ

 学生のモチベーションを高めるものとして、全国大学生電子設計大会や挑戦杯など、コンテストへの出場がある。張副院長は、「山東省大学生ソフトウェア設計コンテストには2005年から参加している。なかなかいい成績が取れなかったが、今年は、2等賞に3チームが入った」と、うれしそうに成果を語った。また、国際コンテストのACM-ICPCにも一昨年から参加している。学生たちにとってコンテストの果たす役割は大きく、カリキュラムによってはコンテストの準備に時間を割くものもある。また、参加することでの単位付与もあって、コンテストは学業と不可分の位置づけだ。

 

学生がドローンの試作に取り組んでいる実習室
学生がドローンの試作に取り組んでいる実習室

 国際交流という点では、アフリカ各国から30人を超える学生が留学。毎年、7~8名のスウェーデンからの交換留学生を受け入れている。このほかタイ、ベトナム、マレーシアとの交流を深めようと計画中だという。日本の帝京大学や大阪産業大学との交流も深い。

 若年者へのプログラミング教育について、張副院長は「まずは興味をもってもらうこと。地域の小・中学生を研究室に招いて、半日程度の見学会などを開催している。子どもたちはびっくりしながらも、とても興味をもつ。そうしたきっかけづくりが大切だ」と話してくれた。
(ITジュニア育成交流協会・道越一郎)

2018年

1月

29日

中国プログラミング教育最前線(3)山東建築大学コンピュータ科学技術学院

 中国・山東省の山東建築大学は、およそ2万6000名の学生を擁する省立大学。建築、土木、交通、空調、芸術などをはじめとして全部で19の学部がある総合大学だ。コンピュータ関連の学部は山東建築大学コンピュータ科学技術学院で済南市にある。ここでプログラミングを教える杨磊教授に、山東建築大学コンピュータ科学技術学院の教育の実情を聞いた。

 

●卒業後のニーズを受けてJAVAに力を入れて教育

 山東建築大学コンピュータ科学技術学院には、コンピュータ科学技術学科、ソフトウェアエンジニアリング学科(開発・テスト)、ネットワーク工学科の3つの学科がある。学生は合せて1500名。教授をはじめ66名の教師がコンピュータやソフトウェアを教えている。杨先生はソフトウェアエンジニアリング学科に所属し、主にソフトウェア開発を教えている。

 

山東建築大学コンピュータ科学技術学院 杨磊教授
山東建築大学コンピュータ科学技術学院 杨磊教授

 ソフトウェア開発では、学生が入学するとまずOSなどのコンピュータのこそ知識を勉強し、開発言語の勉強に進んでいく。杨教授は「現在山東建築大学コンピュータ科学技術学院で最も力を入れている言語はJAVAだ」と語る。山東省立の大学であるため、研究よりも社会への人材供給に重きを置いている。そのため、現在山東省で特にニーズが高いJAVAを中心に教えているという。しかし、将来的に主流言語が変わっていっても対応できるよう、コーディングそのものよりも、考え方を重視した教育方針を採っている。「CやC++といった言語は組み込み系ではよく使うが、プログラム開発では、JAVAが主流。JAVAの基礎からはじめ、Webのフロント回りを勉強し、JAVA EE(Enterprise Edition)に入っていく流れ」だという。

 学生のプログラミングに対するモチベーションについては、2001年以降中国政府が大学を大幅に増やした結果、大学に入学するハードルが低くなり、学生のレベルが一時的に大きく下がった時期があった。また、この時期は経済も不安定で親も子どもの教育どころではなかった。さらに一人っ子政策で結果的に増えたわがままな一人っ子の教区が難しかったという面もある。しかし、経済が成長期にさしかかった90年以降生まれた子どもたちの親は、教育に対する関心も高まってきた。その結果、徐々に学生のレベルも上がってきているようだ。山東建築大学の中でのコンピュータ科学技術学院の位置づけに関しては「建築関連よりもやや劣るが、確実にポジションが上がってきている」と杨教授は話してくれた。

 

山東省済南市にある山東建築大学コンピュータ科学技術学院
山東省済南市にある山東建築大学コンピュータ科学技術学院

●人気の卒業制作はBigDataや画像解析、携帯ゲームなど

 卒業制作で取り組むプログラムでは、AIを利用するまでには至っていないが、BigDataや画像分析、顔認識システムなどが人気だ。そのほか、携帯アプリやゲームも人気だ。企業向けWebサイトの制作なども多いという。杨教授の研究テーマと関連が深いものに関しては、毎年7-8名のグループと一緒につくるものもあるという。政府向けの情報管理システムや管理系の制作が多いという。最近では、学生の出席管理システムもつくっている。100名の学生の講義への出欠を数秒で把握するというもの。GPSと組み合わせ先生との距離で出欠を判定することもできる。

 大学院の院生は14名とわずか。学院内から大学院に進む学生はさらに一握りで、他の大学から進学するパターンが多いという。その他の進路も、地方大学の位置づけであるため、学生の多くは山東省の企業に就職する。「私が担任していたクラスを例に取ると、40数名のクラスのうち、およそ30名が地元企業に就職。10名が北京の企業に就職、海外に出たのは1名、そのほかが数名という感じ」(杨教授)だ。就職した学生のうち、およそ6割は何らかの開発の仕事に就いているという。

 

●学生を励ます目的で開催する、山東省大学生ソフトウェア設計コンテスト

 山東建築大学コンピュータ科学技術学院の学生が目指すプログラミングコンテストとしては、国際的な大会であるACM-ICPCや、中国の全国ソフトウェア大会、挑戦杯、創業大会、などがある。しかし、いずれも誰もが参加できるような大会ではない。しかし、山東省で毎年開かれる山東省大学生ソフトウェア設計コンテストは誰もが参加できるのが特徴。とにかく能動的に参加させ、学生を励ますのが目的だ。杨教授は、山東省大学生ソフトウェア設計コンテストの副秘書長を務めるキーマンでもある。2017年11月に開かれた表彰式では、課題の作成や審査、表彰式の運営などの功績が認められ特別功労賞を受けた。

 

山東省大学生ソフトウェア設計コンテストの表彰式で特別功労賞を受けた杨磊教授(左端)
山東省大学生ソフトウェア設計コンテストの表彰式で特別功労賞を受けた杨磊教授(左端)

 コンテストについて杨教授は「山東建築大学コンピュータ科学技術学院からの応募は2年生がほとんど。2年生のうち6割ぐらいの200名以上は毎年応募している。夏休みはみんなコンピュータ室にこもって毎日頑張っている。そうした学生を励ますため、プログラムが完成すれば何らかの賞がもらえるようにした。応募者の7割ぐらいが完成させている。とにかくプロセスを重視して学生を励まし、社会と接するチャンスをつくることを目的にしている」と話してくれた。若者の心に人ともす活動の重要性は、日中ともに変わらない。(ITジュニア育成交流協会・道越一郎)

2018年

1月

26日

BCN ITジュニア賞 2018表彰式、No.1企業と若者の力の融合目指す

 BCNは1月26日、東京・港区のTKPガーデンシティ品川で、ジャンル別にIT・デジタル家電の年間販売数量No.1メーカーを表彰するBCN AWARD 2018の表彰式と、ITの分野ですぐれた技術をもつ生徒・学生を表彰するBCN ITジュニア賞 2018の表彰式を開催した。

 

BCN ITジュニア賞2018受賞者とNPO法人ITジュニア育成交流協会の協賛企業代表者
BCN ITジュニア賞2018受賞者とNPO法人ITジュニア育成交流協会の協賛企業代表者

 BCN AWARDは、全国の家電量販店、パソコン販売店、ネットショップから収集した実売データ「BCNランキング」にもとづいて、部門(ジャンル)ごとに年間の累計販売数量が最も多かった企業を表彰する賞。19回目となる今回の対象期間は2017年1月1日~12月31日で、ハードウェア85部門、ソフトウェア32部門の計117部門・56社が受賞した。

 

「BCN AWARD」「BCN ITジュニア賞」のロゴ
「BCN AWARD」「BCN ITジュニア賞」のロゴ

 

 表彰式の冒頭、挨拶に立った道越一郎実行委員長は、スクリーンに「A&Iでイノベーションを目指せ GOAL2025」というメッセージを投影した。A&Iとは、AWARDの「A」とITジュニアの「I」をとったもの。このメッセージには、日本のトップ企業と、IT業界の未来を背負って立つことを期待された優秀な若者の才能を融合させることで、2025年を目標に新たな価値を生み出していくという意味が込められている。

 道越実行委員長はスピーチのなかで、今年、「ITジュニアの卵」である16歳以下の生徒を表彰するBCN ITジュニア U-16賞を新たに創設したことを紹介。北海道旭川市で始まり、全国に広がりつつあるU-16プログラミングコンテストを通じて、地元の高校・高専生が小中学生にプログラミングを教えるという文化が広がっていると報告し、先の「GOAL 2025」を実現するためにも、このような動きを支援していく方針を強調した。

 BCN AWARD 2018の表彰式では、117部門で56社の受賞企業が年間販売数No.1の証となる「栄光のトロフィー」を受け取った。プレゼンターは、BCNランキングにPOSデータを提供する販売店と主催のBCNが務めた。会場中央のレッドカーペットを進み、ステージに上がった受賞企業の代表者は、プレゼンターの販売店幹部と固い握手を交わし、笑顔で記念撮影に応じた。

 続いて行われたBCN ITジュニア賞 2018表彰式では、6チームと個人4人の計27人に賞状とトロフィーが授与された。表彰式は昨年に引き続き、受賞者所属校の生徒が司会を担当。第17回高校生ものづくりコンテスト全国大会の電子回路組立部門で優勝した石田有希人さんと同じ愛媛県立松山工業高校の大地楓さんと河野ひよりさんが進行役を務めた。

 

ITジュニア賞表彰式の司会を務めた大地楓さん(左)と河野ひよりさん
ITジュニア賞表彰式の司会を務めた大地楓さん(左)と河野ひよりさん

 

BCN ITジュニア賞2018の受賞者は以下の通り。

 

・STEP――スコアブックと連動する動画閲覧システム制作チーム(国立鳥羽商船高等専門学校)

 

・EachTouch制作チーム(国立香川高等専門学校 詫間キャンパス)

 

・てんぱ組(東京都立産業技術高等専門学校 品川キャンパス)

 

・宮城県工業高等学校 情報研究部 プログラミングコンテストチーム

 

 ・OMNISCIENCE(立教新座高等学校)

 

 ・固有スキルせんたく板(埼玉県立越谷総合技術高等学校情報技術科29期生)

 

・小川広水(東京都立小石川中等教育学校)

 

・菅野楓(早稲田実業学校中等部)――表彰式は学事日程のため欠席――

 

・大西海輝(四国職業能力開発大学校)

 

・石田有希人(愛媛県立松山工業高等学校)

 

 受賞者を代表して挨拶に立った東京都立小石川中等教育学校4年生の小川広水さんは、「今回受賞したプログラミング言語の開発で重ねてきた努力が報われた」と喜びを表すとともに、「これまで自分の技術的な興味・関心でプログラミングを楽しんできたが、これからは多くの人の役に立つもの、そしていずれは人の心を動かすものをつくりたい」と、より高い目標に向かって技術を磨いていく意気込みを語った。

 

受賞者を代表して挨拶した小川広水さん
受賞者を代表して挨拶した小川広水さん

 

 新設のBCN ITジュニアU-16賞 2018は、U-16プログラミングコンテストの北海道大会、三重大会、松山大会でそれぞれ優勝した北海道旭川市立愛宕中学校3年生の成瀬有翔さん、三重県津市立南立誠小学校4年生の田丸皓大さん、愛媛県伊予市立港南中学校2年生の井上晶さんの3名が受賞。賞状の授与に先立って、「若者が子どもたちにプログラミングのイロハを教え、コンテスト出場へ導く」という旭川で生まれたモデルが、北海道内や愛媛・三重に伝播した動きが紹介された。

 

BCN ITジュニアU-16賞 2018を受賞した田丸皓大さん(左)、井上晶さん(中央)、成瀬有翔さん
BCN ITジュニアU-16賞 2018を受賞した田丸皓大さん(左)、井上晶さん(中央)、成瀬有翔さん

 

 BCN ITジュニア賞では、中国・四川省で開催されるモバイルアプリケーションの企画・開発コンテスト、Galboa(ガルボア)杯で優秀な成績を収めた若者に特別賞を授与している。今年は、「商品化の可能性が高い」と評価を受けた作品を制作した成都ソフトウェア学院の厳鵬さん、宋欣蔓さんが表彰式に招かれ、トロフィーを受け取った。

 

BCN ITジュニア特別賞を受賞した成都ソフトウェア学院の厳鵬さん(左)と宋欣蔓さん(中央)
BCN ITジュニア特別賞を受賞した成都ソフトウェア学院の厳鵬さん(左)と宋欣蔓さん(中央)

 

 BCN AWARDは次回で20回目を迎える。BCNの奥田喜久男会長兼社長は、ITジュニア賞の受賞者に向けて「少し遠いかもしれないが、皆さんにも必ず20年後がやってくる」と呼びかけ、ITジュニアたちが将来のIT業界で、日本を代表するような活躍をみせることに期待を寄せた。また、北海道・松山・三重以外の地域でもU-16プログラミングコンテストの開催に向けた動きがあることから、「来年はさらに新たな『ITジュニアの卵』をこの会場にお連れすることができると思う」と話し、BCN AWARD/BCN ITジュニア賞の表彰式を通じて、IT業界の発展に資する支援にさらに力を入れていく考えを示した。
(文:BCN 日高彰/写真:BCN 山下彰子・松嶋優子)
(構成:ITジュニア育成交流協会 市川正夫)

2017年

12月

27日

“U-15”プロコン松山大会、松山工業高校メカトロ部が中学生を指導

 今年も愛媛県松山市に「プロコンの冬」がやってきた。12月17日、松山工業高校を会場に開催された「U-15プログラミングコンテスト」には、市内や近郊から18人の小・中学生が参加。松山工業高校メカトロ部の部員がチューターにつき、プログラミングの基礎を学んでから大会に臨んだ。

 松山大会は、大会参加資格を「中学生以下」として「U-15」を掲げてはいるが、高校生が参加者にプログラミングを教え、コンテストではゲームプラットフォーム「CHaser」を使用するなど、基本の枠組みは北海道旭川市などで開催されている「U-16プログラミングコンテスト」と同じ。昨年第1回大会を開催し、当時中学1年生の金島綾さんが初代のチャンピオンに輝いた。

 今年も昨年同様、夏休みのポリテクセンター愛媛「親子ものづくり体験教室」でプログラミング教室を開催。高校生が中学生にプログラミングを教えながら、12月の大会への参加を促した。12月17日の大会には、夏休みの教室に参加した中学生や、昨年の大会参加者が友人を誘って来場するなど、小中学生18人が参加し、午前中にプログラミング教室、午後には学んだ成果を披露するかたちの大会に臨んだ。

午前中のプログラミング教室では、参加者2人に1人のメカトロ部員がついてプログラミングを指導した
午前中のプログラミング教室では、参加者2人に1人のメカトロ部員がついてプログラミングを指導した

 会場は松山工業高校図書館棟2階のコンピュータ室と視聴覚室。午前のプログラミング教室では、講師を務めた松本統一郎さんが参加者の習熟状況をクライアントモニタでチェックしながら、大会に移行するタイミングを待った。真剣な表情でモニタを見つめ、手を動かした18人は、講師役のメカトロ部員たちの手を借りながらプログラムを完成させ、大会が始まった。

 大会で使用するゲームプラットフォーム「CHaser」は、取ったアイテムの数や相手の上にブロックを置くことで勝敗を決する対戦型のゲームで、参加者は自分のコマの動きを制御するプログラムを書く。松山大会では、まずコンピュータとの対戦で点数を競う予選で順位を決め、上位8人が決勝トーナメントに進み、10人は順位決定トーナメントに回った。

相手より多くのアイテムを取得するか、相手の上にブロックを置くか、相手が自滅するかで勝つことができる
相手より多くのアイテムを取得するか、相手の上にブロックを置くか、相手が自滅するかで勝つことができる

 決勝トーナメントは、先手後手を替えながら行う2回戦制で、メカトロ部顧問の山岸貴弘教諭の実況解説つきで進行。コマ同士が近づくと参加者から声が上がり、相手の上にブロックを置いて勝つと拍手が起きる。同じところをぐるぐる回ってしまったり、自爆してしまったりするたびにため息が聞こえる。参加者も、教えたメカトロ部員たちも、同じ目線で楽しんでいた。

参加者全員で記念撮影。賞状を手にした4人は、左から3位の西田竜登さん、優勝した井上晶さん、準優勝の若宮春吾さん、3位の菊池涼月さん
参加者全員で記念撮影。賞状を手にした4人は、左から3位の西田竜登さん、優勝した井上晶さん、準優勝の若宮春吾さん、3位の菊池涼月さん

 トーナメントでは、準決勝の接戦を制した伊予市港南中学校2年生の井上晶さんが、決勝戦でも逃げ切って優勝した。準優勝には、昨年の大会でも準優勝だった松山市立南第二中学校2年生の若宮春吾さんが入った。優勝した井上さんは、株式会社BCNが主催するBCN ITジュニア賞2018表彰式に招かれ、新設される「BCN ITジュニア U-16賞」が授与される予定だ。

  U-16プロコンは、さまざまな段階の「子どもたちの未来をつくる」活動だ。BCNとNPO法人ITジュニア育成交流協会は、今後も全国にこのムーブメントを広げるために支援活動を展開していく。

2017年

12月

22日

OBはECサイトで大成功――中国・山東省大学生ソフトウェア設計コンテスト

 15年の歴史をもつ山東省大学生ソフトウェア設計コンテスト。その最初の優勝者が、ECサイト「山東二五六」を経営する丁玉树副総経理だ。コンテストへの挑戦から何を学び、何を生かしたのか、話を聞いた。

 二五六グループは、B to BのECサイト「チャンネル256」などを運営し、業容を拡大してきた。IT・デジタル関連のハードウェアを扱い、それまで販売店が複数拠点に発注をかけていたのを一元化して、「ワンストップショッピング」「ワンストップ決済」「ワンストップ配信」など、「ワンストップ」をキーワードに成長を遂げた。2017年度の年商は、前年の倍となる約200億元。九つの子会社をもち、従業員は600人を数える。丁副総経理は二五六創業メンバーの一人で、2003年のソフトウェアコンテストでいっしょに戦ったもう一人の仲間とともに、計8名で2008年に起業した。

B to BのECサイト「二五六」を経営する丁玉树副総経理
B to BのECサイト「二五六」を経営する丁玉树副総経理

 今年34歳の丁副総経理が学生時代に挑戦した2003年の第1回のソフトウェアコンテストでは、コンピュータ対戦型の五目並べをつくるという課題に取り組んで優勝した。「大会を通じてチームワークというものを学び、夢を共有してがんばることのすばらしさを味わった。もちろん、そこでコンピュータやインターネットの基本的な知識を得たことが、後の起業に大いに役立った」と、丁副総経理は振り返る。「起業当時、山東省のコンピュータのレベルは低く、みんな自分の得意分野を生かして何かをやりたがっていた」。その受け皿にもなったかたちだ。

二五六の主要サイトの一つ「チャンネルQD256」
二五六の主要サイトの一つ「チャンネルQD256」

 インタビューの最後、ITを志す若者へのアドバイスを求めると、「大事なことは二つ。一つは夢をもつこと。あきらめず夢を追い、目標を立て、実現する方法を考えて実行することだ。もう一つは、やり遂げること。やると決めたら最後までやりきること」と話してくれた。丁副総経理と山東二五六の今後の活躍を見守りたい。
(取材・文・写真:ITジュニア育成交流協会 道越一郎)

2017年

12月

22日

多くの才能を輩出する山東省大学生ソフトウェア設計コンテスト、成長と成果の軌跡

 11月25日、中国・山東省済南市の山東交通学院で第15回山東省大学生ソフトウェア設計コンテストの表彰式が開催された。2003年に山東大学ソフトウェア学院の石冰先生の呼びかけで始まったコンテストは、65校/1040チームが参加する大会に成長し、中国でも有数のプログラミングの祭典になった。そこで、コンテストの運営を担当する済南計算機学会の尚玉新副秘書長に、コンテストの足跡や成果などについて聞いた。

■15回目を数え、6000人規模のコンテストに成長

 山東省教育庁をはじめとする7団体が主催し、済南計算機学会など3団体が運営する山東省大学生ソフトウェア設計コンテスト。石先生とともにコンテストを始めた徐萌先生が掲げた「すべては学生たちのため」という理念の下、学生を主人公としながら彼らの成長を促す機会として15年にわたって開催し続けてきた。2009年からは、大小50以上のコンテスト・大会からなる山東省大学科技祭の中核コンテストになっている。

「社会に貢献したいという情熱がコンテストの継続を支えている」と話す済南計算機学会の尚玉新副秘書長
「社会に貢献したいという情熱がコンテストの継続を支えている」と話す済南計算機学会の尚玉新副秘書長

 尚副秘書長がコンテストにかかわりはじめたのは、大学卒業後の2009年から。中国には学生向けのプログラミングコンテストが多数あるが、長期にわたって継続するものはあまり多くない。そのなかで、参加者が6000人規模という大きなコンテストを継続して開催してきた。尚副秘書長は、その理由を「石先生を筆頭に、関係者が『お金を目的にせず、社会に貢献したい』という情熱をもっていることが、長く続いている理由だと思う」と語る。学生と指導にあたる先生の関係を「火鍋」にたとえ、「一人ひとりが別々に食べるレストランのコース料理と違って、火鍋はみんなで好きなものを入れて、プロセスを楽しみながらいっしょに食べるという距離の近さがある。そのなかから新たな才能を発掘してきた」。

15回目のグランプリに輝いたのは、山東省青島市・中国石油大学(華東)の学生5人組が開発した「VRを使った運転免許試験模擬システム」
15回目のグランプリに輝いたのは、山東省青島市・中国石油大学(華東)の学生5人組が開発した「VRを使った運転免許試験模擬システム」

■多くのOBが活躍、表彰式後に採用が即決する場面も

 コンテストの入賞者が社会に出て活躍している例は、枚挙にいとまがない。毎年、表彰式が終わるとすぐに企業の社長が学生を囲み、奪い合いになるほど注目されている。例えば、不動産業向けシステムを開発して優勝したチームが、表彰式の直後にシステム導入を約束されただけでなく、その場で5人のチーム全員がその企業に採用されたこともあった。また、コンテストで入賞したHTML5ベースのテレビ会議システムは、直後にある企業が買い取った。コンテストをきっかけにした研究室や学生へのオファーは絶えないという。

中国石油大学勝利学院の学生が開発した「高齢者アシスタントシステム」。スマートフォンを使った心拍数計測で審査員にアピールした
中国石油大学勝利学院の学生が開発した「高齢者アシスタントシステム」。スマートフォンを使った心拍数計測で審査員にアピールした

 15回目の今年は、17の課題が出された。モバイルゲームやスマートフォンの実用アプリ、HTML5によるプログラミングから、ロボットやビッグデータまで、ジャンルは多岐にわたる。「最近の人気ジャンルはHTML5やビッグデータで、AIはまだこれからの段階」(尚副秘書長)だが、今後はAIにも取り組むことになるだろう。コンテストで上位10位に入った作品は、毎年『ソフトウェアの設計と実装』という本にまとめられ、関係者に配布される。

2016年版『ソフトウェアの設計と実装』。ここに作品が掲載されることが目標の一つになる
2016年版『ソフトウェアの設計と実装』。ここに作品が掲載されることが目標の一つになる

■アイデア重視だが完成度も求められるレベルの高い大会

 大会は毎年3月に始動し、4月にオンラインでの受付が始まる。この段階では、課題を選んで手を挙げるだけ。10月1日の締め切りまでに、プログラムの概要書とプログラム本体、プログラムの動作を記録したビデオをセットで提出する。作品は、中国全土の大学教授や会社の代表など、およそ100名からなる審査員が専門分野ごとに分担して審査。2次審査を通過すると、10分のプレゼンテーションができる最終審査を経て、その年の順位が決まる。1000件以上のエントリがあるものの、プログラムを完成させて提出に至るのは700件程度だ。

今年の表彰式に来賓として招かれたBCNの奥田喜久男会長兼社長が入賞者に賞状を授与
今年の表彰式に来賓として招かれたBCNの奥田喜久男会長兼社長が入賞者に賞状を授与

 「今後は、最後までプログラムを完成させる率を上げるとともに、プログラム自体の質の向上を目指したい」と、尚副秘書長。「最も重視するのはアイデア」としながらも、単に企画だけではだめ。実際に動かなければならないのは当然だが、「プログラムの完成度が高くなければならない」と話し、最後までやりきることが求められるコンテストであることを強調した。「完成した作品をブラッシュアップする組織を立ち上げ、生活に役立ちながら商業化できるレベルの作品を増やしていきたい」と抱負を語った。
(取材・文・写真:ITジュニア育成交流協会 道越一郎)

2017年

12月

19日

プログラミングのスーパースターを発掘するACM-ICPCアジア地区大会開催

 12月17日、国際的な大学対抗プログラミング大会のアジア地区予選、ACM-ICPCアジア地区つくば大会が、茨城県つくば市の「つくばカピオ」で開催された。ACM-ICPCは1台のパソコンを使って3人チームで11問の課題を解くコンテストで、海外の7チームを含む38校/50チームが参加。5時間にわたって熱戦を繰り広げた。ダントツの力をみせつけて優勝したのは、東京大学のチーム「Cxiv-Dxiv」。参加チームのなかで唯一11問全問を解き、しかも終了まで1時13分を残すという余裕ぶりだった。2位は終盤で驚異の追い上げをみせた東京大学のチーム「Isplpl」、3位は序盤で飛ばした韓国・ソウル大学校のチーム「MolaMola」だった。

金メダルを授与された東京大学のチーム「Cxiv-Dxiv」。11問全問を解いた
金メダルを授与された東京大学のチーム「Cxiv-Dxiv」。11問全問を解いた

 ACM-ICPCは、ニューヨークに本部を置くコンピュータの国際学会ACM(Association for Computing Machinery)が主催する国際大学対抗プログラミングコンテスト(International Collegiate Programming Contest)。1977年から、世界大会を開催してきた。来春、42回目を迎える世界大会は北京で決勝大会が開催されることになっていて、つくば大会はアジア地区予選の位置づけだ。大学対抗形式のコンテストなので、決勝大会に参加できるのは各校から1チームだけ。今回も優秀チームを有する2~3校が北京の決勝に進むことができる。7月17日の国内予選では、過去最多となる91校/391チームがネット上でつくば大会の出場を競い、31校/43チームが勝ち残った。さらに海外チーム7校チームが参加して、つくば大会が開催された。

3人のチームワークも重要だ。1人がPCに向かっている間、他の2人は別の課題をどう解くか作戦を練る。2位を獲得した東京大学のチーム「Isplpl」
3人のチームワークも重要だ。1人がPCに向かっている間、他の2人は別の課題をどう解くか作戦を練る。2位を獲得した東京大学のチーム「Isplpl」

 コンテスト会場のつくばカピオでは、アリーナの半分ほどに競技席を配置。2本の長机にPC、モニタ、キーボード、マウスが用意され、それ以外の電子機器は持込み禁止だ。チームは3人だが、使えるPCは1台だけ。1人がPCを操作している間、他の2人が作戦を練る。プログラミングの力だけでなく、誰がどんな順番でプログラムを書き、誰がどのように戦略を練るか。チーム力を最大限に発揮するためのマネジメントの力も問われる。力を合わせて同じ課題に取り組み、解き方を見つけたときに浮かぶ会心の笑顔が印象的だった。

3位の韓国・ソウル大学校「MolaMola」。丸風船は解いた問題を表し、銀色の風船は、参加チームのなかで最初にその課題を解いたことを表す
3位の韓国・ソウル大学校「MolaMola」。丸風船は解いた問題を表し、銀色の風船は、参加チームのなかで最初にその課題を解いたことを表す

 国際大会の予選でもあることから、コンテストは英語で進行する。出題される問題はもちろん、会場に流れるアナウンスから表彰式でのスピーチまで、すべて英語。この大会の大きな特徴の一つだ。また、一般のプログラミング・コンテストは、観戦する側は選手たちの間で何が起きているかわかりにくいが、ACM-ICPCでは、選手のPCをネットワークでつなぎ、課題の成否や進捗がリアルタイムでわかるように工夫している。選手もさることながら、観戦者も会場のモニタやウェブサイト経由でスマートフォン画面で確認できるので、奮闘ぶりが手に取るようにわかっておもしろい。さらに、課題を解くと、各チームのブースに立つポールに係員が色分けした風船をつけていく。どのチームが、どれだけの課題を解いたかがよくわかる。最初に解いたチームには課題のアルファベットをかたどった銀色の風船もつけられるので、戦況は一目瞭然だ。

表彰式で選手たちを激励する情報科学国際交流財団の筧捷彦理事長
表彰式で選手たちを激励する情報科学国際交流財団の筧捷彦理事長

 大会の主催団体の一つ、情報科学国際交流財団の筧捷彦理事長は、表彰式で挨拶に立ち、関係団体や共催企業への謝辞の後、「今日をきっかけに選手同士の交流が生まれ、友情が永遠に続くことを願う。また、勝ち残って決勝大会に進むチームには、ぜひともワールドチャンピオンを勝ち取ってほしい」とエールを送った。ACM-ICPC決勝大会は、2018年4月15~20日、中国・北京で開催される。(BCN・道越一郎)

会場で配布されたTシャツを着て、選手・スタッフなど参加者全員で記念撮影
会場で配布されたTシャツを着て、選手・スタッフなど参加者全員で記念撮影

2017年

12月

08日

「役立つ」をテーマに進化した第3回GaLboa杯、四川省成都市で表彰式

 12月1日、中国・四川省の大学生を対象にスマートフォン(スマホ)向けアプリの企画や開発の腕を競う「第3回GaLboa(ガルボア)杯」の表彰式が四川省の省都、成都市で関係者らおよそ200人を集めて開かれた。一昨年に続いて今回が3回目の開催で、10チーム・10個人の計37名が入賞した。主催は成都サービス貿易協会。共催は成都ウィナーソフトの子会社である成都サービスアウトソーシングプラットフォームで、日本のゲーム会社、ガルボアが協賛する。前回まではスマホのゲームに限ったコンテストだったが、今回から「社会に役立つ」アプリやゲームをテーマとして、枠を広げた。エントリは、企画内容を競う企画部門が190チーム、プログラミングまで行う開発部門が18チームで、表彰式当日のプレゼンテーション後に最終審査を行い、各賞を決定した。

表彰式が開催された天府ソフトウェアパークF区はスタートアップ企業が集まるエリア
表彰式が開催された天府ソフトウェアパークF区はスタートアップ企業が集まるエリア

 企画部門の最優秀賞を受賞したのは、ミニゲーム「地球を救う(拯救星球)」を考案した成都ソフトウェア学院の「YooSen」の2人(鄧琪さん、高国慶さん)で、賞金2万元が贈られた。審査員は、「絵がかわいいことと、遊び方が斬新で完成度が高いことを評価した」とした。

企画部門の最優秀賞を獲得した「YooSen」のリーダー、鄧琪さん
企画部門の最優秀賞を獲得した「YooSen」のリーダー、鄧琪さん

 開発部門の最優秀賞は、「大学図書館の座席占有状況と分析アプリ(高校图书馆占座与数据分析)」をつくった成都ソフトウェア学院の4人組「N-Library」の皆さん(李永春さん、张洪军さん、黄雷胜さん、邓子玉さん)で、3万元が贈られた。審査員は「テーブルにあるQRコードでアプリにチェックインすることで、他の学生が図書館の空き状況を確認できる実用的なプログラム」と評価した。

開発部門の最優秀賞を獲得した「N-Library」のリーダー、李永春さん
開発部門の最優秀賞を獲得した「N-Library」のリーダー、李永春さん

 商品化の可能性が高いゲームに贈られるGaLboa特別賞は、企画部門の「リア充向けスケジュールアプリ(日程有约)」を考えた成都ソフトウェア学院の厳鵬さんが受賞。「自分のスケジュールを公開することで、家族や友人との約束がしやすい。また、他人のスケジュールを確認でき、お互いが空いている日を確認できるので誘いやすい。自分が行きたい場所があったら、いっしょに行く人を募ることもできる」と、審査員の間で好評だった。

企画部門のGaLboa特別賞を受賞した厳鵬さん
企画部門のGaLboa特別賞を受賞した厳鵬さん

 開発部門では「jelly_monster」をつくった成都ソフトウェア学院の宋欣蔓さんが受賞。審査員は、「遊び方が斬新でおもしろい。伸びしろは少ないかもしれないが、完成度が高い」と評価した。

開発部門のGaLboa特別賞を受賞した宋欣蔓さん
開発部門のGaLboa特別賞を受賞した宋欣蔓さん

 主催者の成都サービスアウトソーシング協会の徐洁秘書長は、「GaLboa杯は、海外市場と直結するオープンなビジネスプラットフォームを目指す革新的な人材育成の場でもある。応募作品は、専門家チームによるアドバイスで、商品化の可能性が高まる。今回から社会に役立つというテーマを掲げ、より広い参加を得ることができた」と話した。

成都サービスアウトソーシング協会の徐洁秘書長
成都サービスアウトソーシング協会の徐洁秘書長

 コンテストに協賛する日本のゲーム制作会社、ガルボアの中村文彦専務執行役員は、「今回は、グーグルチャイナなど、現地のソフト会社やメディアが表彰式に出席した。入賞した作品を商品化したいという申し出があれば、ガルボアが間に入って、著作権を守りながらスムーズに商品化できるよう手助けしたい」と話す。ガルボアは、中国子会社のGaLboaチャイナを江蘇省泰州で12月に設立する予定。中国での教育ソフトビジネスを本格化させる一方、学生の支援も行っていく。

ガルボアの中村文彦専務執行役員
ガルボアの中村文彦専務執行役員

 今回、GaLboa特別賞を受賞した2人は、副賞として来年1月26日に開催するBCN ITジュニア賞2018の表彰式に招かれ、BCN ITジュニア特別賞を受賞する予定だ。
(取材・文・写真:ITジュニア育成交流協会 道越一郎)

2017年

11月

30日

中国・山東省大学生ソフトウェア設計コンテストで運転VRシステムがグランプリ

グランプリ・準グランプリ受賞者と関係者・来賓が記念撮影
グランプリ・準グランプリ受賞者と関係者・来賓が記念撮影

 11月25日、第15回山東省大学生ソフトウェア設計コンテストの表彰式が中国・山東省済南市の山東交通学院で開催された。グランプリには、山東省青島市・中国石油大学(華東)の学生5人組(

胡永さん、高振卓さん、高伟さん、杨金路さん、毕驰さん)がつくった「VRを使った運転免許試験模擬システム」が輝き、賞金1万元が授与された。また準グランプリは山東省東営市・中国石油大学勝利学院の「高齢者介護スマートアシスタントシステム」と山東省済南市・山東大学の「ドライバーアシスタントシステム」が獲得し、それぞれ2000元が授与された。

山東省青島市・中国石油大学(華東)の学生5人組がつくった「VRを使った運転免許試験模擬システム」がグランプリ
山東省青島市・中国石油大学(華東)の学生5人組がつくった「VRを使った運転免許試験模擬システム」がグランプリ

 グランプリの「VRを使った運転免許試験模擬システム」は、VRゴーグルとハンドル、アクセル、ブレーキ、シフトレバーなどを備え、実際に運転する感覚で操作するシステム。キーを回してエンジンをかけ、運転をスタート。前後左右の風景だけでなく、エンジン音も再現するなど、高いリアリティをもつ。例えば、ウインカーなしで車線変更すると減点されるなど、実際の運転免許の実技試験と同じ行程を体験することができる。

運転免許の実技試験をVRで疑似体験できる
運転免許の実技試験をVRで疑似体験できる

 準グランプリの「高齢者介護スマートアシスタントシステム」は、声でコントロールすることで、窓やカーテンを開閉したり、少し離れたところにある物を取ってきたりするロボットなどに、スマートフォンを組み合わせた介護システム。同じく準グランプリの「ドライバーアシスタントシステム」は、よい運転習慣を身につけるためのスマートフォンアプリで、ナビゲーションと混雑状況、データ分析モジュールを備え、ドライバーを安全な運転に導く。荒削りながら、いずれの作品も実用性に富んだ作品だった。

「高齢者介護スマートアシスタントシステム」は音声コントロールで物を運ぶロボットをはじめ、高齢者向けのシステム
「高齢者介護スマートアシスタントシステム」は音声コントロールで物を運ぶロボットをはじめ、高齢者向けのシステム

 山東省大学生ソフトウェア設計コンテストは、山東省を中心としたプログラミングコンテストで、中国だけでなく世界の大学生に門戸が開かれている。今年はハワイからの参加もあった。17の課題についてプログラミングを行うソフトウェア部門と、日本語と韓国語によるコンピュータ知識を問う外国語部門がある。今年のソフトウェア部門には、56の大学から970チーム、計5800名がエントリ。グランプリ、準グランプリのほか、一等賞73名、二等賞142名、三等賞219名が決定した。

主催団体の一つ、済南市科学技術協会の路来良副主席が祝辞を述べた
主催団体の一つ、済南市科学技術協会の路来良副主席が祝辞を述べた

 表彰式では、開催校山東交通学院の唐勇党委副書記長や、主催団体の一つである済南市科学技術協会の路来良副主席が祝辞を述べた。また来賓として表彰式に招かれたBCN会長兼社長でITジュニア育成交流協会の奥田喜久男理事長は「1年間の苦労が報われ表彰されたみなさんおめでとう。人は夢によって導かれる」と祝辞を述べた。さらに、ITジュニア育成交流協会が支援しているコンテストの一つ、U-16プログラミングコンテストの状況を来場者に紹介した。また、論語の一節を中国語で披露したり、日本語で張継の楓橋夜泊を吟じたりして、会場を大いに沸かせた。(BCN・道越一郎)

BCNの会長兼社長でITジュニア育成交流協会の奥田喜久男理事長も来賓として招かれ、祝辞を述べた
BCNの会長兼社長でITジュニア育成交流協会の奥田喜久男理事長も来賓として招かれ、祝辞を述べた

(取材・文・写真:ITジュニア育成交流協会 道越一郎)

2017年

11月

30日

第17回高校生ものづくりコンテスト、松山工業高校の石田有希人さんに栄冠

 11月18・19日の両日、第17回高校生ものづくりコンテスト全国大会(中国大会)が広島県と岡山県で開催され、高校生たちが日頃鍛え抜いたものづくりの技を競った。

 全国工業高等学校校長協会が主催する高校生ものづくりコンテスト全国大会は、「旋盤作業」「自動車整備」「電気工事」「電子回路組立」「化学分析」「木材加工」「測量」の7部門で、全国のブロック予選を勝ち上がってきた選手たちが技術・技能を競うコンテスト。このうちBCN ITジュニア賞の対象となる電子回路組立部門は、基板制作とプログラミングのスキルを競う組込み技術系のコンテストだ。2時間30分の競技時間内に設計仕様にもとづいて回路を設計・製作し、コンピュータでその回路を制御するプログラムを作成して、課題に沿った動作を行うシステムを完成させる。

会場の広島県立広島工業高校。この日は寒波が来ていて11月とは思えない寒さだった
会場の広島県立広島工業高校。この日は寒波が来ていて11月とは思えない寒さだった

 電子回路組立部門の会場は、電気工事、化学分析、木材加工の各部門と同じ広島県立広島工業高校。競技は2日目に行われた。プログラミングやハンダ付けの技術だけでなく、作業態度や服装までが審査されることもあって、選手たちはきびきびとしたしぐさで課題のページをめくり、器具を手にする。2時間30分はあっという間に過ぎ、最後までキーボードを打つ手は止まらなかった。

選手たちはひと言も発することなく、黙々と作業に取り組む
選手たちはひと言も発することなく、黙々と作業に取り組む

 競技終了後は、課題をどこまでクリアしたか、実際に動作を確認するプレ審査が行われた。この結果、六つある大課題のうち五つまでを完全にクリアし、六つめに着手していた石田有希人さん(愛媛県立松山工業高校)がこの時点でトップに立ち、本審査に入った。

電子回路組立部門でただ一人の2年生、優勝した石田有希人さん。来年以降も期待がかかる
電子回路組立部門でただ一人の2年生、優勝した石田有希人さん。来年以降も期待がかかる

 最終成績は、プレ審査で1位になっていた石田さんが優勝/厚生労働大臣賞に輝き、2位に板橋直哉さん(佐賀県立佐賀工業高校)、3位に中島拓海さん(長野県松本工業高校)と、プレ審査の順位通りの結果だった。優勝した石田さんは、電子回路組立部門の選手で唯一の2年生。夏に行われた第12回若年者ものづくり競技大会電子回路組立てでは銀賞だったが、この大会でその雪辱を果たした。石田さんは、BCNが来年1月26日に開催するBCN ITジュニア賞2018を受賞することになる。

(取材・文・写真:ITジュニア育成交流協会 市川正夫)