埼玉県プロコン、有望な中学生も表彰

今年で22回となる埼玉県工業高等学校プログラミングコンテスト(埼玉県プロコン、主催:埼玉県工業教育研究会)が2012年11月10日(土)、埼玉県桶川市の「さいたま文学館」の文学ホールにて開催された。 埼玉県プロコンは「工業高校等に学ぶ生徒に、創造力を発揮した新鮮な発想でのプログラミングの作成を通して、作る喜びや達成感、ものづくりへの興味関心を高めさせるとともに、次代を担うスペシャリストとしての資質を向上させる」ことを趣旨として毎年開催されているプログラミングコンテストである。部門は、プログラミング部門、ホームページ部門、競技部門の高校生の部、加えて中学生向けの中学生部門からなる。また、原則として応募資格は県内に在籍する生徒である。当日は、競技部門以外の各部門のプレゼンテーションが行われた。なお、プログラミング部門のみは、予備審査を通過した4作品がプレゼンテーションを行い、最優秀賞などが決定し、表彰された。なお、ITジュニア育成交流協会(ジュニ協)からは高橋文男理事長が審査員として参加し、プログラミング部門の審査と全体の講評を行った。

 


 

作品の応募数は他の全国規模のコンテストに匹敵
今年は各部門で応募数が増えたという。プログラミング部門に70作品、競技部門では45チーム、ホームページ部門では19作品、中学生部門では36作品が集まった。埼玉県プロコン全体では合計170本もの考え抜かれたプログラム作品が集まったことになる。この応募数は日本にある多くのIT系コンテストの応募数に匹敵する数である。

特にプログラミング部門の70作品という数は、他のITコンテスト主催者が聞いたら驚く応募数だろう。しかもこの応募数は、全国規模のコンテストではなく、埼玉県だけの数である。この応募数からも埼玉県の情報技術教育がいかに活発であるかがわかる。集まった作品群はアイデア満載で、今回プレゼンを行った予選通過した4作品だけを見ても、シュミレータ、ライブラリ、ブログシステムなど、多彩な作品が集まった。

2012年11月10日(土)快晴の下、さいたま文学館にて第22回目となる埼玉県プロコンが開催された
2012年11月10日(土)快晴の下、さいたま文学館にて第22回目となる埼玉県プロコンが開催された

 

プログラミング部門は越谷総合技術高校が上位独占!

予備審査を通過し、審査員による本審査に挑んだ4作品は全て越谷総合技術高校の作品だった。プログラミング部門(高校生の部)の結果は以下の通り。

プログラミング部門

最優秀賞

埼玉県立越谷総合技術高等学校

作品名:KSGL

 

優秀賞

埼玉県立越谷総合技術高等学校

作品名:物理の部屋

埼玉県立越谷総合技術高等学校

作品名:JYO-GI BLOG

 

優良賞

埼玉県立越谷総合技術高等学校

作品名:Digitino

審査員からの質問に思わず前に出て熱心に答える古川亮さん(情報技術科3年)
審査員からの質問に思わず前に出て熱心に答える古川亮さん(情報技術科3年)

KSGLは、グラフィックソフトウェアの開発を補助するためのライブラリ。小規模なミニゲームの開発から、高度な描画を要する学術系ソフトウェアまで幅広くサポートすることができるという。審査員からは他の全国規模のコンテストに応募しても十分に渡り合える完成度の高い作品だと評価を得た。

審査員の質問に答える「KSGL」チームの二人。プレゼンはハキハキとして聴きやすい内容だった
審査員の質問に答える「KSGL」チームの二人。プレゼンはハキハキとして聴きやすい内容だった

 

ホームページ部門も越谷総合技術高校が受賞!

ホームページ部門(高校生の部)には毎年テーマが設定されている。今年も昨年と同じ「環境」をテーマに19作品がエントリー。こちらは事前に審査が行われており、最優秀賞の発表と受賞チームのプレゼンがあった。ホームページ部門も越谷総合技術高校が受賞した。

 

ホームページ部門 最優秀賞

埼玉県立越谷総合技術高等学校

作品名:越谷であそぼ!

女子3人組が制作した「越谷であそぼ!」
女子3人組が制作した「越谷であそぼ!」

「越谷であそぼ!」制作チームは、身近な環境である越谷市を題材に、市内の公園を巡る親しみやすいサイトを制作した。プレゼンでは吉岡侑里乃さん(情報技術科3年)が「MUD(メディアユニバーサルデザイン)を考慮して、見やすく、わかりやすいサイトを念頭に制作した」と説明、さらに「見やすい、操作がわかりやすい、どんな公園かがよくわかる」という3つの特徴を紹介した。一番のこだわりは、サイト上のアイコンなどの部品をすべて自作したことだと説明し、会場からは大きな拍手を受けた。

老若男女に親しみのある「公園」に絞ったことで、わかりやすいサイトになった。
老若男女に親しみのある「公園」に絞ったことで、わかりやすいサイトになった。

 

競技部門は来年閉校の玉川工業が最優秀賞!

例年、埼玉プロコンでは競技部門の課題を高校プロコンの「CHaser」にしている。今年は「CHaser2012」、参加チームはじつに45にものぼった。これは各校で3年生の選択科目で時間をかけて取り組めるというメリットがあるのかもしれない。競技部門もホームページ部門と同様に事前に総当たり戦による予選が行われ、玉川工業が第一位(最優秀賞)を受賞した。

 

競技部門 第1位(最優秀賞)

埼玉県立玉川工業高等学校

玉工課題研究班

作品名:STD

 

競技部門では埼玉県大会の決勝の様子をビデオで撮影したものを上映し、檀上には玉工課題研究班の4名が壇上に立った。玉川工業は来年春で64年の歴史に幕を閉じるが、翌日の高校プロコンでは埼玉県初の優勝を目指したいと抱負を語っていた。

決勝戦の様子のビデオ画面
決勝戦の様子のビデオ画面

夏休みも返上で、全てをぶつけた玉工課題研究班の4人
夏休みも返上で、全てをぶつけた玉工課題研究班の4人

 

中学生部門は久喜市立栗橋西中学校の山本陸さんが最優秀賞!

中学生が挑戦する中学生部門最優秀賞は以下の通り。

 

中学生部門 最優秀賞

久喜市立栗橋西中学校 山本陸さん

テーマ:迷路

作品のストーリーや展開、キャラクターなどは全て自分で考えたという
作品のストーリーや展開、キャラクターなどは全て自分で考えたという

 中学生たちが挑むテーマは「迷路」。日本語プログラミング言語の「ひまわり」を使ってのゲーム制作は36本の応募があった。山本陸さんのゲームは、アイテムを取りながら、かわいいキャラクターが各ステージをクリアしていくゲームで、プレゼンでは実際の動きも見せてくれたが、スピード感があって、単純ながらも楽しいゲームだ。単純なゲームではあるが、ソースコードの総ステップ数は1036行。努力の跡がうかがえる。なお、山本さんは埼玉県内の工業高校で行われた夏季講習会に参加してゲーム制作の基礎を教わった。その期間はたったの三日間!その後、修正を加えながら完成したという作品について、審査員からの質問には「ゲームをするより、作る方が楽しい」と答えた。

 

埼玉県プロコンの大きな特徴とは ~中学生向けのプログラミング夏季講習会の実施~

埼玉県プロコンの大きな特徴は、中学生向けの中学生部門があることだ。前段で紹介したように、今年は中学生部門に36本もの作品が集まったが、これは単に募集しただけで集まる数字ではない。その母体となっているのは、埼玉県工業教育研究会に所属している埼玉県内の三郷工業技術高校、越谷総合技術高校、久喜工業、浦和工業の4つの工業高校が実施した地元の中学生向けの夏期講習会だ。中学校では当然プログラミングを教えていないため、興味のある中学生に早くから体験してもらおうという3日間の夏季講習会が大きな役割を果たしている。この夏期講習会では日本語プログラミング言語「ひまわり」を使って、今回のゲームテーマ「迷路」を作成する。そこで完成したゲームを中学生が応募するのが埼玉県プロコンの中学生部門だ。

 


プログラミング部門

最優秀賞 埼玉県立越谷総合技術高等学校

作品名:KSGL

研究者:古川亮、平田峻、井澤大輝(情報技術科3年)

指導教員:阿部浩介、清水静治(情報技術科教諭)

写真左2名が受賞者
写真左2名が受賞者

 

ホームページ部門

最優秀賞 埼玉県立越谷総合技術高等学校

作品名:越谷であそぼ!

研究者:吉岡侑里乃、高井梨穂、清波奈緒(情報技術科3年)

指導教員:荒川かをる、清水静治(情報技術科教諭)

写真左3名の女性が受賞者
写真左3名の女性が受賞者

 

競技部門

最優秀賞 埼玉県立玉川工業高等学校

作品名:STD

玉工課題研究班:馬場隆也、高野弘樹、平間俊勝、福田治広(情報技術科3年) 

指導教員:山口淳(情報技術科教諭 進路指導部)

写真左2名が発表者
写真左2名が発表者

 

中学生部門

最優秀賞 久喜市立栗橋西中学校

制作者:山本陸さん

課題:迷路

写真左から二人目が山本陸さん
写真左から二人目が山本陸さん

 

埼玉県プロコンを模範モデルに

こうした成果は単に埼玉県プロコンの応募数のためだけではなく、情報技術の面白さ、楽しさを知ってもらい、体験してもらうと同時に、県内の情報技術科がある高校に進学してもらいたいという意図もある。高校の魅力や活動内容を伝える方法は学校祭があるが、より一歩踏み込んだ形が夏季講習会であり、その成果は埼玉県内の情報技術教育に計り知れない素晴らしい影響を与えている。じつは埼玉県のこうした取り組みは他の地域でも採用されつつある。それが北海道の「旭川プロコン」である。このように地元の中学校との連携によって、コンテストと連動させる埼玉県プロコンが模範モデルとして全国に広がれば、才能の芽を早くから見出すことができるだろう。

 

報告:ITジュニア育成交流協会事務局

バックステージ:裏方の三郷工業技術高校・放送部に拍手!

埼玉県プロコンでは初の試みとして、コンテスト中の司会と裏方を三郷工業技術高校の放送部のメンバーが担当した(下写真)。ジュニ協としてもここ数年参加しているが、生徒による司会やアナウンスはとても新鮮で、来年も是非続けて欲しいと感じた。当日のプレゼンおよび表彰については三郷工業技術高校の名前が挙がらなかったものの、埼玉県全体で埼玉県プロコンを盛り上げようという心意気とボランティア精神に拍手を送りたい!

放送部の皆さん、お疲れ様でした!とても新鮮で、発声もさすが放送部だ!と関心しました
放送部の皆さん、お疲れ様でした!とても新鮮で、発声もさすが放送部だ!と関心しました