460作品の登録で過去最高を更新、U-22プログラミング・コンテスト2018

 2020年から小学校教育で必修化になることもあり、プログラミングへの関心が急速に高まっている。10月21日に東京・港区のTEPIA先端技術館で、第39回「U-22プログラミング・コンテスト2018」の最終審査会が開催。事前審査に応募した作品数が460作品(前年比27.9%増)、参加者総数が1581人(同33.7%増)と、昨年の344作品、1236人を大きく上回り、3年連続で過去最高を更新した。7月1日~9月5日に応募した作品は、10月上旬に実施した1次審査会を経て、最終的に16作品が最終審査会に進んだ。

スローガンは「世界は君の創造次第。」
スローガンは「世界は君の創造次第。」

 冒頭のあいさつで実行委員長を務めたコンピュータソフトウェア協会(CSAJ)の青野慶久副会長(サイボウズ社長)は「昨年も過去最高の応募数だったが、そこからさらに3割近く伸び、ビッグウェーブが起きている。本日の最終審査会に残った16作品を制作した方々は、1割を切る選ばれし人たち。ここにくることだけでも大変、素晴らしいこと」と、難関を突破して最終審査会まで進んだことを讃えた。

実行委員長を務めるCSAJの青野慶久副会長
実行委員長を務めるCSAJの青野慶久副会長

 U-22プログラミング・コンテストは、すぐれた人材の発掘・育成を目的に、22歳以下の若者を対象に開催するプログラミングのコンテスト。前身は1980年から経済産業省が主催の「全国高校生・専門学校生プログラミング・コンテスト」「U-20プログラミング・コンテスト」で、2014年に民間に移行し、運営事務局がCSAJに移った。対象年齢も、22歳以下に年齢が上がった。

 応募作品は、有用性や芸術性などビジネスの可能性が期待できるほど完成度の高い作品を評価する「プロダクト」、アルゴリズムや機能性など技術的に優れた作品を評価する「テクノロジー」、独創性や将来性など優れたアイデアを採用した作品を評価する「アイデア」と、3つのポイントから選定する。経済大臣賞として、「総合」を含めて合計4つの賞から構成される。

 作品ジャンルは問わないが、自ら作成したコンピュータプログラミング作品で、AIやIoT、セキュリティ、プログラミング言語、ユーティリティ、学習&教育、コミュニケーション、ゲームなど、実行可能であることが条件となる。プログラミング言語も問わない。

 また、今回は新しい取り組みとして、第3回「全国小中学校プログラミング大会(JJPC)」を同日に開催した。こちらは、小中学生を対象にして「発想力」「表現力」「施術力」を審査基準とし、PC・スマートフォン(スマホ)・タブレット端末で動作するプログラムやアプリ・ゲーム・ムービーなどのソフトウエア、ロボットや電子工作などのハードウエアであれば使用言語や作品形式を問わない。U-22プログラミング・コンテストと連携しており、ダブル応募も可能だ。

 さらに、作品発表者のプレゼンや授賞式の様子はニコニコ生放送でもライブ配信されて、視聴者らが決める独自の「Best Viewers賞」を設けるなど、コンテストを盛り上げた。

 さて、U-22プログラミング・コンテストの最終審査を経て発表された経済産業大臣賞の受賞者と受賞作品を簡単に紹介しよう。

 「総合」で受賞したのは、早稲田実業学校初等部の菅野晄さんによる「写刺繍~Sha-Shi-Shu~」で、小学6年生の受賞だ。スマホで撮影した写真から刺繍の図案を簡単に作成できるアプリを開発した。刺繍で一番難しいとされる図案は、これまでサンプル集などから選ぶしかできなかった。だが、写刺繍を使うと自分の好きなものが図案にできるので、オリジナルのデザインの刺繍が楽しめる。数多い糸の種類や色なども、K平均法アルゴリズムによって一番近い色を決めてくれる。

「写刺繍~Sha-Shi-Shu~」で「総合」を受賞した菅野晄さん
「写刺繍~Sha-Shi-Shu~」で「総合」を受賞した菅野晄さん

 「プロダクト」で受賞したのは、東京工業大学4年の美座天佑さんのブラウザで動くハイクオリティアクションゲーム「サイハテドロップ」。グラフィック、フォント、サウンド、プログラムをすべて自分だけでつくった。敵を倒して得たコインで武器を購入しながら攻略していくドット絵ゲームで、描画エンジンはPIXI.jsを使っているが、設計部分はゲームエンジンを使わずにJavaScriptのみで作成した。重くならず、スピーディーで爽快感のある攻撃演出が高く評価された。

「サイハテドロップ」で「プロダクト」を受賞した美座天佑さん
「サイハテドロップ」で「プロダクト」を受賞した美座天佑さん

 「テクノロジー」で受賞したのは、日本工学院八王子専門学校4年の藤巻光平さんによる3DCGレンダリングのソフトウエアをゼロからすべて作成した「Lightn Renderer Engine」。従来のソフトウエアにとらわれない、新しい表現や最新のリアルタイムレンダリング表現を採り入れている。従来のCPUとGPUを使った処理を、GPUだけの超並列計算処理を活用しながら、今日のIT分野でVRやMR、スマホなど幅広い分野で使われているリアルタイムレンダリングで、さらに高度な表現方法を完成させた。

「Lightn Renderer Engine」で「テクノロジー」を受賞した藤巻光平さん
「Lightn Renderer Engine」で「テクノロジー」を受賞した藤巻光平さん

 「アイデア」で受賞したのは、京都市立岩倉南小学校の宮城采生さんの「オシマル」。こちらは小学5年生の受賞だ。宮城さんは、親から注意されないと12時間ぐらい平気でゲームをしてしまうほどのゲーム好き。大小の動物キャラクターが押し相撲をしながら敵の陣地に入ったら勝ちとなるゲーム「オシマル」を自らつくった。C#歴は1年というが、ゲームアイデアやキャラクターの絵、音楽をすべてオリジナルでつくった。

「オシマル」で「アイデア」を受賞した宮城采生さん
「オシマル」で「アイデア」を受賞した宮城采生さん

 なお、経済産業大臣賞を受賞した4人は、2019年1月18日に表彰式を開催する「BCN ITジュニア賞2019」にノミネートされる。

 

(文・写真:BCN 細田 立圭志)