【寄稿】第38回高校プロコン、宮城県工業高校が優勝

愛媛県立松山工業高校 電子機械科教諭
山岸貴弘

 今年で38回を数える伝統ある全国高校生プログラミングコンテスト(高校プロコン)が、11月11日、埼玉県さいたま市のソニックシティで開催された。会場には選手や指導教諭、観客など約100人が集い、大会に臨んだ。

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38回の伝統をもつ高校プロコン

 高校プロコンは、対戦型ゲームプラットフォーム「CHaserOnline」で勝負を決するコンテスト。夏から行われてきた1次予選、2次予選を勝ち抜いた全国の8校が本選会場に集い、勝負を競った。

 ChaserOnlineは、C言語で作成したAIプログラムでクライアント(コマ)を動かしながら、「化石」「三葉虫」「ターゲット」「アイテム」を取得して得点を加算していくことで勝ち負けを決めるゲーム。得点は、化石>三葉虫>ターゲット>アイテムの順なので、得点の高いものから取っていくAIプログラムが必要になる。最大の得点源は、相手のクライアントを土で埋める動作(プット)だ。今年から1ターンにつき2回の動作が認められ、相手を見つけてプットしやすい環境になった。プットの得点はターン(残り手数)×10点なので、早い段階でプット勝ちを収めれば、かなりの高得点が期待できる。さらには、アイテムを置いたり、土を更地にしたりなどの動作も組み込まれ、ワープ(瞬間移動)もあって、対戦では各チームが個性あるプログラムを展開した。

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ChaserOnlineは毎年少しずつ進化する

 本選では、最初に8チームの同時対戦を行い、前半・後半のそれぞれの順位をもとに上位4チームが決定。結果は、1位が愛媛県立松山工業高校、2位が宮城県工業高校、3位が長崎県立長崎工業高校、4位が山梨県立都留興譲館高校で、準決勝は松山工業対都留興譲館、宮城県工業対長崎工業の組み合わせになった。

 準決勝は、一対一の勝負。これも前半・後半で総得点などを競う。第1試合の松山工業対都留興譲館は、お互いプットすることなく、化石類を多く取った松山工業が勝ち、決勝に駒を進めた。第2試合の宮城県工業対長崎工業は、確実に化石類を多く取る宮城県工業が2勝して決勝に進んだ。

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優勝した宮城県工業高校チーム(手前)

 決勝は昨年と同じ宮城県工業対松山工業。第1試合の前半、先にプットしたのは松山工業だったが、その後、化石類を多く取る宮城県工業に迫られ、最後は宮城県工業が2回プットして大きく点を離した。後半は双方互角の展開で化石類を取得していったが、実力の勝る宮城県工業が2連勝。強豪校が3年ぶりの栄冠に輝いた。