第4回U-16プロコン和歌山大会開催、新チャンピオンに平見聖さん

 和歌山県立田辺工業高等学校は12月4日、第4回U-16プログラミングコンテスト和歌山大会を開催した。16歳以下を対象に、碁盤目フィールドの上でプログラム同士を戦わせる対戦型ゲームプラットフォーム「CHaser」を使ったプログラミングコンテスト。今回のエントリーは16名。2名の欠席者を除いた14名のトーナメント戦で、電気電子科実習棟の3階を会場に熱い戦いが繰り広げられた。優勝は平見聖さん。昨年の覇者山下瑠菜さんは準優勝。惜しくも連覇を逃した。3位は田上夕貴さん、4位は藤本栞那さんという結果だった。平見さんを筆頭に4位までの全員が上富田中学校の生徒で占めた。

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決勝戦の模様。左から準優勝の山下瑠菜さん、優勝した平見聖さん、戦いを見守る4位の藤本栞那さん

 U-16和歌山大会の特徴は、CHaserのマップがあらかじめ公表されている点。本選ではあらかじめ用意された10種類のマップがランダムに現れる。どのマップになるかは、試合が始まるまでわからないものの、事前に情報が開示されているため、対策を立てやすい。そのためか、戦いのレベルも高く戦略的なプログラムが目立った。相手のコマにブロックを落として勝つ、柔道の一本勝ちに相当する「PUT勝ち」も多く、会場は大いに盛り上がった。見事優勝を勝ち取った平見さんは試合後のインタビューで「まさか前回のチャンピオンを破れるとは思わなかった。自分でもびっくりしている」と、満面の笑みを浮かべて喜びを語った。

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1位から4位までの上位入賞者で記念撮影。左から藤本さん、平見さん、山下さん、田上さん

 表彰式を終えた総評で、実行委員長を務める田辺工業高等学校の森下憲一 校長は「パソコンやプログラミングが好きな皆さんにとって、ひとつの目標、また、腕試しの場となるようコンテストを開催している。プログラムは楽しいと感じてもらうことも狙いのひとつ。プログラムは世の中には欠かせない、人の生活を便利で豊かにするツール。中学を卒業したらぜひ工業高校に入って、さらに技術を磨き、社会に役立つ人材として羽ばたいてほしい」と話し、健闘を称え選手を激励した。

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表彰式を終えた総評で健闘を称える森下憲一 校長

 大会前日、田辺市の北西に位置する御坊市で震度5弱を記録する地震が発生。田辺市でも震度4を記録したが、幸い被害はなく大会は無事開催された。和歌山大会では、コロナ禍にあってもリアル開催を継続。昨年同様今年もリアル会場で開催した。競技委員長を務めた電気電子科の竹居栄治 教諭は「実際に会場に集まってやったほうがおもしろい。この臨場感はオンラインではなかなか出せない。オンラインの選択肢はないと考えている」と、リアル開催にこだわる理由を話す。本選会場のほかにデバック会場も別途設け、観戦会場も2つ用意。密な状態になることを避けつつ換気も十分に行い、徹底した感染対策を施して大会を開催した。

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田辺工業高校の生徒がアシスタントとして選手の戦いをしっかりサポート

 上位陣を総なめした上富田中学でパソコン部の顧問を務める庄口和志 教諭は「先輩から代々受け継がれるアルゴリズムを共有しながらそれぞれの工夫を加え、さらに強いプログラムに成長させていく」と強さの秘訣を明かした。第5回目を数える次回のU-16プログラミングコンテスト和歌山大会は2022年12月3日に田辺工業高校で開催する予定だ。(ITジュニア育成交流協会・道越一郎)

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会場の田辺工業高校は、最寄りの紀伊田辺駅から車で5分ほど。名物、車のオブジェは健在だ