若年者ものづくり競技大会、電子回路組立ては砺波工業高校の川島大和さんが制する

 7月31日と8月1日の2日間、福岡市のマリンメッセ福岡、福岡国際会議場など4会場で第14回若年者ものづくり競技大会が開催され、15職種で熱い戦いが繰り広げられた。電子回路組立て職種では、富山県立砺波工業高校の川島大和さんが金賞/厚生労働大臣賞を獲得。富山県勢として初の栄冠に輝いた。

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15職種のうち10職種の競技会場になったマリンメッセ福岡

 厚生労働省と中央職業能力開発協会が主催する若年者ものづくり競技大会は、若者のものづくり技能に対する意識を高め、一人前の技能労働者に育成していくために、技能習得の目標を与え、技能を競う場として開催される大会だ。原則として職業能力開発施設や工業高校などで技能を習得中の20歳以下の選手たちが、メカトロニクス、機械製図(CAD)、旋盤、フライス盤、電子回路組立て、電気工事、木材加工、建築大工、自動車整備、ITネットワーク、システム管理、ウェブデザイン、業務用ITソフトウェア・ソリューションズ、グラフィックデザイン、ロボットソフト組込み、造園の15職種で技能を競う。

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電子回路組立ての会場には顔写真入りの選手紹介も

 このうち電子回路組立ては、競技仕様書にもとづいて組立て基板を製作し、これを制御するプログラムを作成。事前配布の「競技仕様書(1)」と当日配布の「競技仕様書(2)」の課題を通じて,電子回路の組立て技量と動作モードのプログラム設計技量を競う。競技時間は4時間で、選手は基盤製作、プログラミングの順で作業を進めていく。参加するのは、全国各地域の代表選手たち25人。今年は職業能力開発大学校・短期大学などが16人、工業高校が9人だった。

 競技は朝8時50分にスタート。途中10分間の休憩をはさんで、13時までの長丁場だが、選手たちにとってはあっという間の時間である。ペンチやニッパ、ハンダごてなどを駆使して、すばやく、しかし仕様書にもとづいてていねいに基盤を製作し、プログラミングの時間を確保する。プログラミングまで終えた選手たちは、最終チェックに余念がない。

同じ会場内に他職種の競技音が響くなかで静かな戦いが続く.jpg
同じ会場内に他職種の競技音が響くなかで静かな戦いが続く

 競技終了後、書き終えたプログラムの提出作業に移った選手たちの表情は、やり終えた充実感に満ちていた。しかし成績発表は、厳密な審査を経て翌日の午後。それまでは選手も指導者も、いてもたってもいられない気持ちだろう。

 そして8月2日の夕刻。主催者である中央職業能力開発協会のホームページには、電子回路組立ての金賞/厚生労働大臣賞受賞者として、 川島大和さん(富山県立砺波工業高等学校)の名前があった。2005年の第1回大会から数えて14回。電子回路組立て職種で初めて富山県勢が栄冠に輝いたことになる。

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金賞/厚生労働大臣賞に輝いた富山県立砺波工業高等学校の川島大和さん

 銀賞には北條湧基さん(四国職業能力開発大学校)、友近響さん(愛媛県立松山工業高等学校)、平村恵人さん(長崎県立長崎工業高等学校)、銅賞には井上博貴さん(兵庫県立小野工業高等学校)、中島丈瑠さん(岐阜県立岐阜工業高等学校)が入り、敢闘賞に6人の選手が選ばれた。

 金賞/厚生労働大臣賞の川島さんは、来年1月、BCN IT ジュニア賞2020の受賞者として、あらためてIT業界の大人たちの前で表彰される。


(文・写真:ITジュニア育成交流協会 市川正夫)