高専教育システム、海外展開のいま――高専機構がシンポジウム

 時代に適合した実践的技術者を養成するために、5年間の一貫教育を柱に1962年に始まった高等専門学校制度。独立行政法人国立高等専門学校機構(高専機構)は、この教育システムを海外の技術者教育に役立ててもらおうと、高専型教育の海外展開を進めている。3月16日、高専機構は東京・大手町のパレスホテルで、この現況を報告する「『高専 is KOSEN』~日本の高専から世界の高専へ~ 高専の国際展開シンポジウム」を、日本経済新聞との共催で開催した。

 シンポジウムの第一部は「高専の未来戦略」と題して、日本経済新聞社の田中陽編集委員、宮城高専(現仙台高専名取キャンパス)のOBである日揮の石塚忠社長COO、高専機構の谷口功理事長が鼎談。石塚氏が誕生間もない時期の高専とその後のエンジニアを巡る環境の変化を語ると、田中氏は日経産業新聞の「高専に任せろ」の取材を通じて得た教育現場の現在を説明。そして谷口氏は「変わっていないのは、実験・実習を重視した専門教育」としながら、このユニークな教育制度をグローバルに展開していく意義を説いた。

 続く第二部「高専の国際展開」では、文部科学省から宮川典子政務官、高等教育局専門教育課の松永賢誕課長が政府の支援と期待を表明。その後、高専機構が海外展開の重点国に定めるモンゴル、タイ、ベトナムで高専教育制度の導入を進める3氏が各国の現況を説明した。東京高専出身で高専機構モンゴルリエゾンオフィス現地代表も務めるウランバートル市議会のツァガーン・バイガルマ議員は、現在開校している3高専の状況とそこで学ぶ学生たちの成長ぶりをアピール。タイ立法議会のコソン・ペッツワン議員は、今年5月に「タイ高専コース」を開講する2校のテクニカルカレッジを紹介した。ベトナム国会のギエム・ヴー・カイ議員は、高専コース設立を目指している4校の大学・短大を紹介しながら、今後、教員・学生の相互交流を推し進めていく意欲を語った。

 谷口功理事長は、「高専卒業生が『社会のお医者さん(Social Doctor)』として認知されるよう、国内外で活動していく。そして『KOSEN』を英語辞典『ウェブスター』に載せたい」と語り、シンポジウムを締めくくった。

(ITジュニア育成交流協会 市川正夫)