U-16プロコン帯広大会、和気あいあいのなかに勝敗の機微

 10月21日、北海道帯広市で、第2回U-16プログラミングコンテスト(U-16プロコン)帯広大会が開催された。

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昨年に続いて北海道帯広工業高校の教室で開催

 北海道のU-16プロコンは、2011年9月に旭川市で始まり、13年からは釧路市でも開催されている。帯広大会は昨年スタート。その前年には、U-16プロコンの存在を地域にアピールするために、旭川・釧路両大会の上位入賞者を招いて北海道大会(全道大会)をJR帯広駅南口前の公共施設、とかちプラザの広々としたアトリウム開催し、大会を知らない人々が足を止め、観戦する光景が見られた。

 今年の会場は、昨年同様、北海道帯広工業高校。5人の参加者は、工業技術部でITを学ぶ1年生だ。司会は3年生の五十嵐文哉さんが務めた。大会は、対戦型のゲームプラットフォーム「CHaser旭川版」を使い、5人の総当たり戦で先手・後手を入れ替えて同じ相手と2度戦うかたちで行った。勝敗数が並んだ場合は、プット(相手の上にブロックを落とす/相手が自滅する)による勝ちが多い順に順位を決めていく。

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対戦を繰り返すうちに参加者の表情はさまざまに変わる

 参加者全員がふだんから対戦を繰り返してきた仲とあって、大会は和気あいあいとした雰囲気で進む。それでも、優勝・準優勝の2人は旭川で開催される全道大会に出場できるとあって、終盤には「お、旭川行きかあ」などの合いの手が入る場面が見られた。指導する電気科の増田尚之教諭、隣でマイコンカーラリーに取り組んでいた工業技術部のほかの班の生徒も、次第に熱を帯びてきた戦いを見つめる。

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賞状を手にした優勝の池田京平さん(左)と準優勝の柳澤佳吾さんを囲んで

 2時間の戦いの結果、優勝したのは2勝2引分けの池田京平さん。準優勝には2勝1敗1引分けの柳澤佳吾さんが入った。柳澤さんは3位の川原翔太さんと勝敗数で並んだが、プット勝ちの数で旭川行きを決めた。閉会式で、優勝の池田さんが「全道大会に向けて、さらにプログラムを磨いていく」と誓うと、会場の全員から拍手が湧いた。今回、大会に参加した5人には、これから先も後輩たちや、やがて参加してくる中学生たちの指導という重要な役割が待っている。

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実行委員長の辻田茂生さん。帯広市でIT企業を経営する

 北海道のOSS(オープン・ソース・ソフトウエア)コミュニティでの雑談をきっかけに始まったU-16プロコン。実行委員会の面々が住んでいる市町村は、道内の広い地域に及ぶ。自分の街の子どもたちにプログラミングの楽しさを知ってほしいという気持ちが、旭川から釧路、そして帯広へと開催都市をふやしてきた大きな原動力になっている。広い北海道を股にかけて他地区の応援にも駆けつける大人たちの行動力と、子どもたちの成長を見守る熱い気持ちによって、北海道のU-16プロコンは地域に根を下ろし、これからも着実に歩みを進める。

(文・写真:ITジュニア育成交流協会 市川正夫)